2021 Fiscal Year Research-status Report
災害時および避難時において安全・快適な衣生活を営むための衛生学的研究
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20K13812
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| Research Institution | Shitennoji University Junior College |
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Principal Investigator |
谷 明日香 四天王寺大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (30413446)
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| Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | 衣生活 / 安全・快適 / 災害 / 被服衛生学 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
風水害を伴う災害は毎年のように発生し、その中で死傷者を伴う大地震は6年に1度の割合で発生している。災害は時期や時間を選ばないため、冬季における災害は、外気温と体温の差が大きく、全域停電（ブラックアウト）が伴うとさらに寒さとの戦いとなる。さらに、津波や豪雨などにより体が濡れていた場合は、命の危機にもつながる事態になりかねない。特に、体温調節機能な未熟な乳幼児や体温調節機能が鈍化する高齢者は一層の注意が必要であるとされている。
昨年度は、備蓄物資や住まいに用いられる材料の中から防寒効果がどの程度あるか、6種類（新聞紙、緩衝材、毛布、ブルーシート、アルミシート、高密度不織布）の試料を選定して測定を行なった。今年度はその6種の試料を用いて、着装シミュレーション実験を実施した。具体的には、模擬皮膚の上に下着を想定した綿ニットもしくは機能性インナーを重ね、その上に6種類の試料をそれぞれ重ね、保温率や衣服内温湿度を測定した。実験を行うにあたって、濡れた状態を念頭に、乾燥状態だけではなく、綿ニットもしくは機能性インナーを濡らした湿潤状態の2つの条件を設定して測定を行なった。
着装シミュレーション実験の結果より、不透湿素材と透湿素材により衣服内湿度に大きな違いが見られ、保温力が高くても結露が見られる可能性が示唆された。つまり、着用時に衣服内に結露が着用者に蒸れの不快感を感じたり、低温環境下においては体温を大きく奪う可能性があるということがわかった。今後は、この結露の発生を防ぐことを満たした簡易型の着衣を提案していきたい。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、冬季災害時の防寒対策として、備蓄物資を活用した衛生学的に安全・快適な衣生活を営むための衣環境について検証することを目的に、温熱的快適性に関わる物理特性（衣服内温湿度・保温力）および着用実験による温熱的着用性能（ヒトの生理・心理反応）の両面から明らかにする。
2020年度は、実験の準備段階として、備蓄物資や住まいに用いられる材料の中から防寒対策に役立ちそうなもの6種（新聞紙、緩衝材、毛布、ブルーシート、アルミシート、高密度不織布）を実験試料として選定し、各種資料の特性（熱伝導性、保温率、通気抵抗、透湿性）を測定・把握した。その上で、実験の第1段階として、冬季災害時に着のみ着のまま避難した場合を想定し、下着（綿ニット、機能性インナー）の上に各種試料を重ね着した場合の温熱的快適性を評価した。具体的には、ヒトは季節に関わらず身体から常に水蒸気を放散（不感蒸泄）し、体温調節をすることから、水蒸気移動を伴う不感蒸散シミュレーションとして、熱板の上に湿潤ろ紙、透湿防水シートの順に配置した模擬皮膚を準備し、その上に試料を順次配置することで、重ね着による多層空間を再現し、各種試料の保温力や模擬皮膚と着衣の間の衣服内温湿度を測定した。
2021年度には、災害時の津波や豪雨などの影響で衣服が濡れている場合を想定し、下着2種（綿ニット・機能性インナー）の①乾燥時と②湿潤時で比較検討を行った。さらに、物理実験により高い評価が確認された試料を用いて、保温力が高く、快適な衣服内温湿度を実現する簡易収納型衣料を考案・製作を検討している段階にある。
今後は、簡易収納型衣料を被験者に着用していただき、温熱的快適性の検証を行う予定としているが、現在の進捗状況として、予備実験を行っている状況にあり、やや遅れているといえる。
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| Strategy for Future Research Activity |
2022年度の研究の進め方として、まずは、物理実験により高い評価が確認された試料を用いて、保温力が高く快適な衣簡易収納型衣料の製作を完成させ、本実験に向けた着用実験にへと移行したい。着用実験では、温熱的着用性能を明らかにするため、下着を着用した上から簡易収納型衣料を重ね着した時の生理・心理反応（衣服内温湿度・局所発汗量・心電図・深部温・主観評価）を測定する。実験期間は、温冷感や快適温度、温熱的中立温度には季節差があることから、本研究で着目している冬季に行う必要がある。ただし、被験者実験による検証は、被験者への多大な負担が推測される。特に、冬季の避難所生活を想定した寒冷環境下での実験は、人道上の問題があると考えられる。そのため、着用実験は物理実験同様、20℃・65％RHに調整された恒温恒湿室で行う。なお、この実験は本学倫理審査を経て、被験者（本学学生（20代女性））を募り、実施する予定である。
研究発表については、2022年度に冬季災害持に気のみ気のまま避難した場合を想定し、下着の上に各種試料を重ね着した場合の温熱的快適性についての物理実験データを整理し、学会発表を行とともに論文にまとめる。さらに、2023年度には着用実験のデータを含めた学会発表と論文投稿に向けた準備をする予定である。
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| Causes of Carryover |
コロナ禍において学会や打ち合わせがやむなくオンライン開催となったことや、被験者実験を行うことができなかったため。次年度は今年度分も含め、被験者実験を増やして実施する予定である。
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Research Products
(1 results)
