2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K13817
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Research Institution | Kumamoto Industrial Research Institute |
Principal Investigator |
奥村 加奈子 (藤野加奈子) 熊本県産業技術センター(ものづくり室、材料・地域資源室、食品加工室), その他部局等, 研究主任 (90636292)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ゲル / 物性 / 予測 / 応答曲面法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、複数のゲル化剤を組み合わせて調製した多糖類複合ゲルを対象に調製条件と物理的特性の関係を統計的手法を用いてモデル化することで、開発工程の省力化や食感改良を平易にすることを目的としている。 今年度は惣菜向けゲルの例として、RO水にネイティブジェランガム、脱アシルジェランガムの2種類のゲル化剤と調味料として食塩を添加し調製したゲルを試料に用いた。因子はゲル化剤と食塩とし、添加量は中心複合計画に基づいて決定した。調製したゲルの物性はかたさ(応力)、凝集性、瞬間弾力性、付着性をクリープメータを用いたテクスチャー試験で測定し、応答曲面解析により各物性値の予測モデルを作成した。モデルの妥当性確認は統計的評価と合わせて、任意の配合量で調製したゲルの物性実測値と予測モデルから得た予測値の比較を行った。 その結果、かたさ(応力)はネイティブジェランガム、脱アシルジェランガム、食塩の量が多いほど増加した。凝集性はネイティブジェランガムの増加により上昇し、脱アシルジェランガムと食塩の増加は凝集性を低下させる方向に作用することが分かった。瞬間弾力性の低下には、高水準の食塩添加量下でネイティブジェランガムの添加量が少ないこと、脱アシルジェランガムの添加量が多いことが関与していることが示唆された。付着性は作成したモデルに統計的有意性が得られず、実測値と予測値の乖離が他の物性値よりも大きかったことから、付着性にはゲル化剤と食塩以外の因子が存在し、その関与が大きいことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度に予定していた基本ゲルの物性予測モデルの作成と妥当性確認を終え、現在これらのゲルの熱的性質の評価方法と惣菜ゲルの調製条件について検討を行っていることから順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は基本ゲルの物性予測モデルを作成し、統計的な精度評価と合わせて任意の配合量で調製したゲルの物性値とモデルによる予測値の比較確認を行った。今後は電子顕微鏡観察および示差走査熱量測定等によりネイティブジェランガムと脱アシルジェランガムの混合により生じるゲルの構造変化、熱的性質の変化の特徴について検討する。野菜を添加した惣菜ゲルの調製条件を検討し、予測モデルの作成とモデルを利用した嚥下困難者用向け食品の調製により本手法の食品加工における実用性について評価する。
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