2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K13817
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Research Institution | Kumamoto Industrial Research Institute |
Principal Investigator |
奥村 加奈子 (藤野加奈子) 熊本県産業技術センター(ものづくり室、材料・地域資源室、食品加工室), その他部局等, 研究主任 (90636292)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ジェランガム / 食塩添加 / 加熱冷却 |
Outline of Annual Research Achievements |
ネイティブジェランガム、脱アシルジェランガムおよび食塩の添加によるゲル化特性の変化を調べるため、試料を撹拌しながら加熱・冷却と同時に粘度測定が可能なRapid Visco Analyzer (RVA) を用いて、前年度と同様に応答曲面計画に基づき調製した試料の加熱・冷却時におけるゾル/ゲルの粘度を測定した。その結果、試料調製攪拌時の水溶液粘度の増減とは別に、加熱冷却過程において冷却時の60~70℃付近と40~30℃付近の2か所で粘度上昇のピークが観測された。加熱時80℃付近にも粘度上昇のピークが見られたが、このピークはネイティブジェランガムの添加量が低水準もしくは脱アシルジェランガムよりも添加水準が低い試料では確認することが出来なかった。各ジェランガム単独および各ジェランガムに食塩を添加した配合試料の粘度をRVAで同様に測定すると、加熱時80℃付近および冷却時60~70℃付近の粘度増加はネイティブジェランガムに食塩を添加した際のみに生じており、各ジェランガムの単独ゾルや脱アシルジェランガムと食塩の混合ゾル、食塩無添加のネイティブジェランガムと脱アシルジェランガムの混合ゾルではこの温度帯での顕著な粘度上昇は見られなかった。また、脱アシルジェランガム単独では加熱冷却による粘度変化が微小でゲル化しないのに対し、食塩添加時は冷却時に顕著な粘度上昇がみられることから、食塩はネイティブジェランガムと脱アシルジェランガムの双方に対して加熱段階と冷却段階における粘度に影響を与えるとともに、冷却段階ではネイティブジェランガムとの相互作用により新たなゲル凝固温度点を生成させ、ゲル化に影響を与えている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
DSCによる食塩添加ジェランガム水溶液のゾル-ゲル転移に基づく発熱ピークの観察が上手くいかなかったことから、手法をRVAに変更し加熱冷却時の粘度変化からゲル化特性の把握を行った。ジェランガム混合ゲルへの食塩によるゲル化特性の変化については、今年度も引き続きDSC測定条件の検討を行うほか、DSC以外の手法についても工夫を図るため、全体としては「やや遅れている」を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
野菜ピューレ添加ゲルに対する応答曲面法による物性モデルの精度評価と並行し、ジェランガム混合ゲルへの食塩によるゲル化特性の変化について検討を行う。
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