2020 Fiscal Year Research-status Report
The effect of cognitive styles on lifestyle habits and mental health in adolescents and adults with autism spectrum disorder
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20K13821
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
義村 さや香 京都大学, 医学研究科, 特定講師 (80751776)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / ADHD / 生活習慣 / 認知機能 / 精神疾患 / 青年期 / 成人期 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、生活習慣やメンタルヘルスの問題が生じやすい青年期以降の自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder: 以下ASD)および注意欠如多動性障害(attention deficit/ hyperactivity disorder: 以下ADHD)を対象として認知課題バッテリーを施行し、症状の基盤となる認知処理スタイルのどのような特徴が生活習慣や合併精神障害へ影響するかを明らかにすることである。 2020年度は、本研究者の所属機関の新型コロナウイルス感染症対策のために予定していたデータ取得が困難な状況にあったが、新型コロナウイルス感染症流行下における、生活習慣の一部である運動習慣およびサプリメントの使用と精神障害との関連について、海外の共同研究機関と連携してオンラインによる質問紙調査を行った。その結果、世界7カ国から3000を超える回答が得られ、運動習慣がある群では精神障害の既往が少なかったが、ある種の運動種目では運動習慣が病的水準(嗜癖の状態)にあり、加えて飲酒や喫煙、サプリメントの使用率が高いという嗜癖・依存の傾向が認められた。この結果より、運動習慣は精神的健康を維持増進しているが、運動種目によっては、運動嗜癖と物質依存のcross-addictionに留意する必要があることが示唆された。この研究成果については、現在論文を投稿中である。 オンラインによる質問紙調査の結果を踏まえ、「ASDおよびADHDにおいても運動習慣が精神的健康を増進するが、運動種目によっては運動嗜癖や物質依存の傾向があるのではないか」と仮説をたてて、本研究で調査していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究者の所属機関では、新型コロナウイルス感染症の流行により、2020年度から現在に至るまで長時間の対人接触を伴う研究活動が禁止されている。一方、本研究課題で行われる認知課題バッテリーの施行には3時間程度を要し、実験施行者と研究参加者の接触時間が長いため、バッテリーが実施できない状況となった。 オンラインによる認知課題バッテリーの実施も検討したが、本研究者が「睡眠覚醒リズムやインターネットの不適切な使用と関連する」と仮説をたてている「時間」に関する課題が認知課題バッテリーには含まれており、その施行には、不意の妨害刺激が起こることのない環境設定が必要であることが判明した。そのような環境が確保できるか不明なオンラインでの認知課題バッテリーの施行は研究結果に影響を与える可能性があり、かつ表情の認知処理スタイル評価に利用する視線計測データも取得するため、対面によるデータ取得を目指し、データ取得の開始を2021年度まで延長することとした。これにより進捗状況は遅れることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在においても新型コロナウイルス感染症の流行は収束しておらず、データ取得が困難な状況は続くため、本研究者の使用する実験室においてオンライン環境を整備し、オンラインによる「時間」に関する課題を実施可能かつ実験施行者と研究参加者の接触時間が最小限となるような形で認知課題バッテリーを施行できるようにすることで、データ取得を推進していく。
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Causes of Carryover |
2020年度は本研究者の所属機関の規定により、新型コロナウイルス感染症流行下でのデータの取得が困難であった。そのため、予定していたデータ取得が進まず、研究補助者の雇用、研究参加者への謝金、心理検査・データ保存用ハードディスクドライブ・データ解析用ワークステーション・データ解析用モニタ・データ解析用ソフトウェアの購入の必要がなかった。また、情報収集等のために予定していた学会参加のための国外への移動が制限されていたこと、および国内の学会がオンラインによる開催になったことから、旅費を使用することがなかった。 2020年度に取得できなかったデータについては2021年度に取得する予定であり、これに伴い、物品費、人件費・謝金の使用が見込まれる。また、学会発表については、現地参加を検討しているが、新型コロナウイルス感染症流行の状況によっては現地参加が困難なことも予想され、その場合は旅費が生じない可能性がある。
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