2020 Fiscal Year Research-status Report
「だれでもカルタ」を用いた高齢者への特殊詐欺防止のための消費者教育モデルの開発
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20K13822
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
石橋 愛架 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (60610920)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高齢者 / 特殊詐欺 / 消費者教育 / 教材 / カルタ / スマホゲーム / カルタアプリ / 人材育成 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、教材の収集、および、詐欺防止講座を実施しその効果を検証した。 国民生活センターHP、都道府県消費生活センターHP、市町村消費生活センターHPを中心にインターネット検索により特殊詐欺に関する教材の収集を行った。それらを整理分析したところ、高齢者への特殊詐欺防止のための消費者教育教材のほとんどが、対面での提示を想定した紙面のプリントやリーフレット、パンフレット等であり、その内容は知識偏重型で受け身のものであることがわかった。 詐欺防止講座は、オンライン会議システムzoomを用いて鹿児島大学の研究室から秋田県の消費生活センターに集まった高齢者11人を対象に行った。機材の都合で会場の音声がよく聞こえなかったため高齢者に対する声掛け等をすることはできなかった。しかし、主催の消費生活センター職員が高齢者への声掛けを担うなど連携により講座をスムーズに進めることができた。講座後の高齢者へのアンケートでは「少し聞きづらかった」との回答も見られたが、おおむねオンラインによる講座を肯定的にとらえていることがわかった。また、センター職員へのインタビューでは、「講座のやり方を学べる機会になった」など大学と連携したことによる講座の効果が示されていた。 また、オンラインによる詐欺防止講座は、鹿児島県内の高校生を対象としても実施した。講座を受ける前のアンケートからは、自分や家族が特殊詐欺に遭うかもしれないという危機意識は見られなかった。講座を受講後に、学んだことを家族に伝えるための手紙を書いてもらったところ、特殊詐欺が他人事ではないことや相談先を家族に伝えようとしていること等が読み取れ講座の効果が示されていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、全国の高齢者団体や防犯協会、社会福祉協議会、デイサービス、消費生活センター等における「だれでもカルタ」の効果検証を予定していた。しかしながら、カルタは密集・大声を伴うゲームでありコロナ禍では実施が非常に困難であることから、調査を依頼していた団体・機関等では「だれでもカルタ」の使用を中止しており、オンラインでの講座の実施ができたのは高齢者団体1つと高校1校という状況である。それゆえ研究の進捗がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は「だれでもカルタ」という教材を用いて高齢者への特殊詐欺防止のための消費者教育モデルを開発することである。しかしながら、カルタは密集・大声を伴うゲームでありコロナ禍では実施が非常に困難であることから、「だれでもカルタ」の効果検証は保留する。 代替策として、オンライン対戦型詐欺対策スマホアプリ「だれどこカルタ」を開発し、それを用いた高齢者への特殊詐欺防止のための消費者教育モデルを開発することとした。 これを実施するには、高齢者がスマホを所持していることが前提となるため、当初予定していた高齢者サロンなどで行うことは難しいと考えられる。また、教育を行う人材としては高齢者リーダー等を想定していたが、スマホ教室の講師などに変更することとした。 特殊詐欺の専門家ではないスマホ教室の講師が、スマホアプリ「だれどこカルタ」を使用することにより高齢者への特殊詐欺防止のための消費者教育を行うことができるか否かを明らかにする。また、スマホアプリ「だれどこカルタ」の使用により高齢者の特殊詐欺についての知識や意識、特殊詐欺に関わる家族との交流などが促進されるか否かについて検証する。 検証結果をもとに、スマホアプリ「だれどこカルタ」を用いてスマホ教室で実施できる高齢者への特殊詐欺防止のための消費者教育モデルを開発する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で出張ができなかったためヒアリング旅費や観察旅費、学会参加旅費にかかる費用が不要となった。その費用分を遠隔の講座実施の際に用いる録画機器等の購入に充てたが、多少の余剰が生じた。 次年度は海外出張の予定があったが、今年度同様にコロナ禍の影響で中止にせざるを得ないため余剰が生じる。 この費用分については、新たに研究計画に盛り込んだ「オンライン対戦型スマホアプリだれどこカルタ」の開発費用に充てることとする。
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Research Products
(2 results)