2021 Fiscal Year Research-status Report
「だれでもカルタ」を用いた高齢者への特殊詐欺防止のための消費者教育モデルの開発
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20K13822
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
石橋 愛架 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (60610920)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 世代間交流 / 高齢者 / 若者 / 特殊詐欺 / 消費者教育 / 教材開発 / スマホアプリ / 授業実践 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、既存の教材の分析をとおして特殊詐欺の被害・加害を防止するためにはどのような教材が求められるかを明らかにし、それを基に教材を開発し、効果検証を行った。 昨年度の消費生活センターのHPに加え、警察のHPを中心に特殊詐欺に関する教材の収集を行い、「自分事と捉えてもらう」「加害者になるのを防ぐ」など詐欺の被害・加害防止に必要な6つの要素(石橋2019)を中心に分析した。その結果、教材の形態としては、対面での提示が前提のパンフレット等が多いものの、非対面でも利用できるYouTube教材も多数あることがわかった。しかしながら、自己完結型の教材がほとんどで家族と話し合うなどアクティブラーニングを促す教材はほとんどみられなかった。また、内容面では、扱われる詐欺の種類に偏りが見られ、加害防止の教材は極めて少ないことなどが明らかになった。 このことから、求められる教材は、非対面でも利用でき、アクティブラーニング型で詐欺防止の6つの要素を網羅している教材であるとの結論を得た。これを踏まえ、オンライン対戦型詐欺対策スマホアプリ「だれどこカルタ~うそ電話詐欺編~」を開発した。 鹿児島県内の21の防犯団体の代表者に対してオンラインによる研修を実施するとともに、個別に高齢者とその家族に対面でアプリを使用してもらい観察を行った。高齢者はアプリで遊ぶこと自体はスムーズにできるものの、アプリのダウンロード等が困難である状況を垣間見ることができた。また、アプリは対面でも非対面でも、遊びながら学ぶことができる点で有用であることがわかったが改善点も明示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、オンライン対戦型詐欺対策スマホアプリ「だれどこカルタ~うそ電話詐欺編~」を開発し、それを用いた高齢者への特殊詐欺防止のための消費者教育モデルを開発することを予定していた。しかしながら、スマホアプリの開発に時間を要したことと、コロナ禍にあってアプリ自体の普及活動が難航し、十分にカルタの効果検証ができなかった。それゆえ、研究の進捗状況がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
オンライン対戦型詐欺対策スマホアプリを用いた高齢者への特殊詐欺防止のための消費者教育モデルを開発することを目的として研究を進めてきたが、アプリの特性から教育の対象を高齢者とすることに困難が生じた。そのため、若者への教育を通じて親や祖父母世代への働きかけを行う方向性にシフトする。 具体的には、大学生がスマホアプリを使って親や祖父母に特殊詐欺についてレクチャーできるようにするための授業を考案する。授業の効果は、レクチャーした結果をレポートしてもらうことにより評価する。 これらの結果をもとに、「だれどこカルタ」を用いた特殊詐欺防止のための世代間交流をとおした消費者教育モデルを開発する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で出張ができなかった分をカルタアプリの開発費用に充てたが、多少の余剰が生じた。 次年度は、改定した紙のカルタ教材を作成して配布するための費用を確保していたが、研究方法の変更に伴い必要なくなった。その費用分については、新たに研究計画に盛り込んだスマホアプリの改定費用に充てることとする。
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Research Products
(5 results)