2022 Fiscal Year Research-status Report
「だれでもカルタ」を用いた高齢者への特殊詐欺防止のための消費者教育モデルの開発
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20K13822
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
石橋 愛架 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (60610920)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 特殊詐欺 / スマホアプリ / カルタ / 教材開発 / 消費者教育 / 防犯 / スマホゲーム / 世代間交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、「自分事と捉えてもらう」「加害者になるのを防ぐ」など詐欺の被害・加害防止に必要な6つの要素(石橋2019)に沿って開発したオンライン対戦型詐欺対策スマホアプリ「だれどこカルタ~うそ電話詐欺編~」(以下、アプリ)の効果検証を行った。 アプリを使用した人を対象としたアンケート(現在継続中)では、アプリをきっかけに「詐欺は自分に関係がある」と回答した人が半数以上で、自分事と捉えるようになった人が増えた。また、アプリをきっかけに「荷物を受け取るだけのバイトを断ろうと思った」人が15%で、加害者になるのを防ぐことにつながる回答が増加した。このほか、特殊詐欺に関する知識や意識が変化したことの回答が得られた。 アプリで遊んだときの状況については、同じ場所にいる知り合いと対面で対戦した人が多いものの、別の場所にいる知り合いと対戦した人も一定数おり、オンライン対戦型というアプリの特性が生かされた結果となった。さらに、ほとんどの人がアプリで学んだことを家族等に伝えるつもりであると回答しており、本アプリが若い世代から親世代、祖父母世代への特殊詐欺防止の啓発に有用であることが示唆された。 大学生を対象に、アプリを用いて特殊詐欺に関するレクチャーを行い、事後に家族や友人に学んだことを伝えるよう指示したところ、「友人とプレイしたら、荷物を転送するバイトをした人が2人いた」「祖母はだまされないと言っていた」「アプリが家族で話し合う良い機会になった」などの感想が寄せられた。オレオレ詐欺等対策プランにおいては、子どもや孫世代を対象とした職場や学校における広報啓発の推進が記されているが、本アプリはそれらの活動においても利用できるものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、アプリの効果検証とアプリを用いた特殊詐欺防止のための世代間交流をとおした消費者教育モデルを開発することを予定していた。しかしながら、アプリの効果検証の際に必要となるアプリの普及はおおむね順調であったものの、アンケートの回収に難航し十分にアプリの効果検証ができなかった。また、実践の場を多く持てなかったことで、消費者教育モデルの開発に至らなかった。それゆえ、研究の進捗状況がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、アプリを用いた特殊詐欺防止のための世代間交流をとおした消費者教育モデルを開発する。具体的には、アプリが特殊詐欺に関する会話を生み出すことに有用であることを明示するため、親世代・孫世代の人々がどのような状況のときに祖父母世代と特殊詐欺に関する会話をしているのかについてのアンケートを実施する。また、アプリ使用者とそうでない者の意識や知識を比較するためのアンケートを実施する予定である。それらの結果を踏まえて、本アプリをどのように祖父母世代に提示することが効果的であるのかについて示す。
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Causes of Carryover |
アプリの利用者に対するアンケートやアプリの実践を行う際には、特に費用が必要なかったために次年度使用額が生じた。 次年度は、カルタアプリの効果検証にあたり、アプリ使用者とそうでない者の意識や知識を比較するため、調査会社を使ってアンケートを実施する予定である。また、本研究の成果物としてアプリの最終的な改訂を行うための費用を要する。
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Research Products
(3 results)