2023 Fiscal Year Annual Research Report
香りによってもたらされる農産物の風味の変動および嗜好性への影響の解明
Project/Area Number |
20K13833
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
堀江 芙由美 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門, 研究員 (70846956)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 香り |
Outline of Annual Research Achievements |
人は食品を食べているときに味と香りからなる風味を感じている。したがって、人が食品を食べているときに感じている感覚を理解するには、味だけでなく香りも含めて研究することが重要である。本研究課題では、香りによって風味の感じ方がどのように変化するのか解明することを試みる。 本年度は、食べ物を噛んだ時に喉の奥から鼻に抜ける香りである口中香の産生について検討を行った。口中香の産生には咀嚼や唾液などが影響するが、ヒトの咀嚼力や口腔の大きさ、唾液分泌量には個人差があるため、データのばらつきが大きくなってしまうことが考えられた。そのため咀嚼を模した咀嚼ロボットを用いて検討を進めることとした。咀嚼ロボットによって1秒に1回の速さで食品を圧縮し、そのときに放出された香気成分を捕集剤に吸着させた。捕集した香気成分は加熱脱着装置付きガスクロマトグラフ質量分析計によって分析した。また実際の食塊の状態を模すため、食品に人工唾液を加えて咀嚼ロボットで圧縮した時に放出された香気成分について検討した。 食品を圧縮すると、圧縮していないときよりも放出される香気成分の種類が増加し、圧縮の有無による違いが見られた。また圧縮回数が増加するにつれて、放出される香気成分の量が増加する傾向にあった。さらに人工唾液の影響を検討したところ、人工唾液を加えたことにより香気成分の放出量が増加した。香気成分の種類ごとの放出動態を比較したところ、人工唾液を加えると放出量が「大きく増加する」、「増加する」、「やや増加するまたは同程度」の3つの傾向に分かれることが示唆された。咀嚼ロボットを用いた検討によって、咀嚼や唾液が香気成分の放出の変化に関わることが示された。
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