2021 Fiscal Year Research-status Report
麺製品の風味形成に影響する生地中の酸化酵素の挙動とその制御
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20K13834
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Research Institution | Saitama Industrial Technology Center |
Principal Investigator |
成澤 朋之 埼玉県産業技術総合センター, 食品プロジェクト担当_北部, 主任 (60642676)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 小麦 / 風味形成 / 酸化酵素 / 抗酸化物質 / 過酸化脂肪酸 / カロテノイド / ビタミンE |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の成果として,小麦中に含まれる抗酸化物質であるビタミンE類と比較して,カロテノイドが小麦生地中の揮発性成分生成を阻害していることが明らかとなった。ガスクロマトグラフ質量分析装置(GC/MS)による生地の揮発性成分分析の結果,カロテノイドの分解物であると報告のあるGeranylacetoneなどの面積値が,小麦中に含まれるカロテノイドであるLuteinの含有量が分析した小麦品種中で最も多かった「さとのそら」において最も大きかった。更に「さとのそら」は,小麦中に含まれる不飽和脂肪酸酸化酵素であるリポキシゲナーゼ(LOX)の活性は通常であるが,その生成物である過酸化脂肪酸は13位の炭素が酸化されている13-異性体の割合が高い品種であった。この13-異性体はカロテノイドの酸化力が高いと報告されており,「さとのそら」はカロテノイドによる揮発性成分生成の阻害を受けやすい品種であることが示唆された。一方,「農林61号」ではLuteinの含有量が少なく,更にLOXにより生成される過酸化脂肪酸が9-異性体であり,そのカロテノイドへの酸化力は13-異性体に比較して弱いことから,カロテノイドによる揮発性成分生成の阻害を受けにくい品種であることが示唆された。そのため,不飽和アルデヒドやフラン類などが「農林61号」では多かったのは,過酸化脂肪酸の9-異性体の分解物として不飽和アルデヒドが生成され,更にその分子内環化付加反応生成物であるフランが生成されていたためと推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナ蔓延の影響により、予定していたイメージングMSなどの機器利用のための出張が行えなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
小麦生地中での酸化反応は,不飽和脂肪酸の酸化分解反応の生成物であるアルデヒド類の他,カロテノイドの分解反応生成物であると考えられるGeranylacetoneなども生成されていた。不飽和脂肪酸やカロテノイドなどから揮発性生成分が生成され,それらがGC/MSで検出されたが,その副生成物として不揮発性成分が生成され,生地中に蓄積していることが推測された。そのため,今後は不揮発性成分の分析のため,LC/MSやMALDI-TOF-MSなどの機器分析を検討する。また,GC/MSによる不揮発性成分分析のため,TMS化やメチル化などの誘導体化による分析も検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナ蔓延の影響により、予定していたイメージングMSなどの機器利用のための出張が行えなかったため。
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