2023 Fiscal Year Annual Research Report
麺製品の風味形成に影響する生地中の酸化酵素の挙動とその制御
Project/Area Number |
20K13834
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Research Institution | Saitama Industrial Technology Center |
Principal Investigator |
成澤 朋之 埼玉県産業技術総合センター, 食品プロジェクト担当_北部, 主任 (60642676)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 小麦 / 風味形成 / MSイメージング / 水溶性成分網羅解析 / 生地調製 |
Outline of Annual Research Achievements |
生地中での酸化反応の進行による過酸化脂肪酸やωオキソ脂肪酸の蓄積,抗酸化物質の減少などが,生地中で表面付近にて局所的に進行するのか,ミキシングの際に混入する酸素により全体的に進行するのかを検証するためにMSイメージングを行った。MSイメージングに用いた生麺サンプルは,さとのそらと農林61号により調製した。それぞれ加水後の熟成は30 ℃のインキュベーター中で0時間,1時間,2時間,4時間,8時間,24時間行った。凍結切片は厚さ16 μm で調製した。MS イメージング測定はMALDI-Q-TOFMSによりポジティブモードで測定した。昨年度測定したLC/Q-TOF-MSにて確認された小麦粉から生地にすることで増加しているイオンのm/z 277.2160 およびm/z 323.2579 については,MS イメージング測定では確認できなかった。これはイオン化方法の差によるものと考えられたが,詳細は不明である。イオンの中では大まかに分けて,①経時的に増加しているもの,②経時的に減少しているもの,③品種間差が出ているものがあった。MS イメージング測定の結果,局在的に変化しているイオンは確認できなかった。
小麦生地調製時に揮発性成分が生成されるが,それに連動して生地中でも様々な成分が変化していることがMSイメージングでも確認された。そこで,小麦粉および生地乾燥粉末中の水溶性化合物の網羅解析を行った。装置はCE-TOFMSを用いた。MSの検出はポジティブモードおよびネガティブモードで行った。測定の結果,カチオンで150 化合物,アニオンで61 化合物の合計211 化合物を検出した。小麦粉から生地を調製することで,アミノ酸やジペプチドの他,糖リン酸や核酸塩基などが加水時に増加することが確認された。このことから,生地形成時にはタンパク質分解酵素や核酸分解酵素などが作用していることが推測された。
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