2022 Fiscal Year Research-status Report
「期待される人間像」の再検討―道徳教育の理論的基盤に関する研究―
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20K13839
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
山田 真由美 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (40795126)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 期待される人間像 / 中央教育審議会 / 第19特別委員会 / 内藤誉三郎 / 森戸辰男 / 高坂正顕 |
Outline of Annual Research Achievements |
中央教育審議会第19特別委員会の第14回から第17回までの審議の速記録を精査し、主査によって執筆された第一次草案が、中間草案の形式にまとめられ一般に公開されるまでの審議の経緯を明らかにした。 おおまかに明らかになったのは次の点である。 1)主査が「道徳の根本原理」とした「愛」に関する記述について、審議の結果、その全文が象徴への敬愛に関する文章に差し替えられたこと、およびその経緯。 2)教育勅語のように「具体的でよくわかる」徳目の列挙を強く求める意見があったが、委員の合意により主査草案の形式が採用されたこと。 3)期待される人間像の対象を日本国民の全体とするか、あるいは後期中等教育に直接にかかわる者に限定するかという点につき、諮問の解釈をめぐって激しい意見の対立がみられたが、結局結論が出なかったこと。 4)上の点に関連して、附記の取扱いをはじめ、第20委員会との役割分担をめぐって議論が混戦する場面が繰り返し確認されたこと。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
やむを得ない事由により2022年8月17日から2023年3月31日にかけて研究を休止したため
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、引き続き審議の速記録をもとに、中間草案が発表された以降の審議の経過をたどるとともに、審議を牽引した哲学者・教育学者の高坂正顕、平塚益徳、天野貞祐、森戸辰男らそれぞれの具体的な思想(教育論・道徳教育論)に踏み込んで検討する。その際、特にそれぞれの委員における「道徳の根本原理」をめぐる思想を跡付ける。 また、あわせて内藤誉三郎や松下幸之助、出光佐三、久留島秀三郎など特徴的な発言を繰り返した委員にも着目し、彼らの発言の背後にある立場や思想についても検討したい。
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Causes of Carryover |
2022年8月17日より2023年3月31日まで研究を中断せざるを得なかったため、研究期間を一年延長し、当初の計画を一年繰り下げて使用する。
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