2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K13847
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
大貫 守 愛知県立大学, 教育福祉学部, 准教授 (00823808)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 科学的探究 / ルーブリック / ポートフォリオ / パフォーマンス評価 / 教育方法 / カリキュラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、理科教育や理数探究において科学的探究力を育む多面的な評価方法を開発することを目的としている。具体的には、先進国である米国の科学教育の事例を参考に、科学的探究力の内実を知識面や技能面といった多面的な側面から精査し、それらを育み、評価する評価方法の在り方を理論的に整理した。本年も新型コロナウィルス感染症の影響で海外における現地調査を行うことはできなかった。しかしながら、科学的探究の評価方法について、これまで得られた実践的な知見や海外文献等をまとめて、研究論文等で発表した。 加えて、国内で連携している高等学校と共同で、科学的探究力を構成する要素に着目した多面的な評価方法の開発に向けた実践的な共同研究に取り組んだ。具体的には、複数の高等学校と共同で、長期的な視点で生徒が身につけた科学的探究力の質を見とる参考資料として開発した標準ルーブリックについて書籍や雑誌等で解説を行い、全国の高等学校に向けて研究成果を広く公開した。更に、科学的探究の背後で探究を駆動させている科学者共同体の有する認識論に着目し、認識の類型とそれに基づく指導や評価の方策について明らかにし、複数の学校で研修を提供した。 この他、米国の共通教育目標に対する批判的見解と、それを乗り越える手段として探究等で重視されている個に応じた指導のあり方について記した書籍を邦訳し、米国の近年の教育政策動向について概説した。加えて、米国で行われているストーリーラインを重視した、絵本を用いた科学的探究の指導と評価について分析を行い、研究論文として発表した。一連の研究の成果については、次年度以降に国内外の出版社から出版されることも決定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、理科教育や理数探究において科学的探究力を育む多面的な評価方法を開発することを目的としている。本年は昨年度に実施できなかった米国における科学的探究力の育成に関する理論と実践に着目し、科学的探究力の内実、指導や評価の方法を実践分析やインタビュー調査により明らかにする予定であった。 しかしながら、本年も新型コロナウィルス感染症の影響で海外における現地調査を行うことができなかった。しかしながら、昨年度とは異なり、ICTを用いて米国の研究者に対して聞き取り調査を行うことができた。それにより米国で行われているストーリーラインを重視した、絵本を用いた科学的探究の指導と評価について分析を行い、研究論文として発表した。 この他、米国の共通教育目標に対して批判的見解を示し、それを乗り越える手段として探究等で重視されている個に応じた指導のあり方について記したているネル・ノディングズの文献を邦訳して発表するとともに、米国の近年の教育政策の動向について概説した。更に、これらの知見を下に日本の理科教育における探究学習の動向についても分析し、論文にまとめた。一連の研究の成果については、次年度以降に国内外の出版社から出版されることも決定している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、新型コロナウイルス感染症の状況下において2022年度も国外における調査の実施が困難を極めることが考えられる。その中で、海外の研究協力者と相談して、zoomやteamsといったオンラインツールを用いてのインタビューの実施や授業研究のあり方、その方法論について模索していく必要があるだろう。 加えて、国内の共同研究校においても新型コロナウイルス感染症の影響で、授業研究やインタビュー調査を現地で行えないことが懸念される。これについても、上記と同様にzoomやteamsといったオンラインツールを用いてのインタビューの実施や授業研究のあり方などについて検討していく必要がある。これについては、昨年度から一部、オンラインに切り替えて実施しているが、学校によっては受け入れが難しい学校多く、別の方策についても今後検討していかなければならないだろう。 この他、2022年度も何らかの要因で感染状況が拡大し、県外への移動が一層制限されてしまうことも考えられる。この点について、従来は県外の高等学校を中心に共同研究を実施してきたが、今後は県内の高等学校に軸足を移すことも検討している。しかし、県内の高校であっても子どもの感染が深刻化する中で学校内に容易に立ち入れない状況も続いている。学校外から調査ができるように、現在、県内の高等学校と共同研究の交渉をすすめるとともに、具体的な方法について協議をしているところである。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響で海外での調査が実施できなかったため、年度末の海外調査旅費として留保していた分、次年度への繰越が生じた。これについては、次年度以降に実施が可能となり次第、海外における長期の調査を実施する予定であり、それに使用する予定である。
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Research Products
(6 results)