2021 Fiscal Year Research-status Report
第4次産業革命のロボット技能者に向けた新人教育カリキュラムの構築と検証
Project/Area Number |
20K13865
|
Research Institution | 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基盤整備センター) |
Principal Investigator |
佐藤 崇志 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基盤整備センター), 能力開発院, 准教授 (20648977)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 第4次産業革命 / サイバーフィジカルシステム / 産業用ロボット / 技能科学 / ロボットSIer |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,生産現場に配属された新人技能者が第4次産業革命に対応できることを目標とする.特に産業用ロボットの自律化するための技能を習得するために,日本ロボット工業会より2017年に発行された「ロボットシステムインテグレータスキル標準シート」を基準とした学卒者対象の教育訓練カリキュラム構築を目的としている. 研究計画調書に記載してある模擬実習装置の構築に関しては,2020年度において産業用ロボット3台と移動式ロボット2台で部品組み立てができるシステム構築を行った.2021年度はシステムの改良を行いながら,サイバー上でデジタルツインを実現するための三次元モデルの作成を行った.フィールドネットワークの国際規格であるOPC-UAを用いることで,実機の動作に合わせてPLM(Product Lifecycle Management)ソフトウェア上で三次元のロボットモデルが動作するデモを完成させた. 教育カリキュラムに関しては,2020年度から試行教育を開始し,2021度は3年次「FAシステム実習」だけでなく,2年次「シーケンス制御」から,デジタルツインを活用した実習を展開してPLMソフトウェアの使い方を慣れさせるようにカリキュラムを一部変更した.また,昨年度試行した結果から,数台しかない産業用ロボットを複数人で占有することで触れる時間が少なくなる課題があったため,ロボットのプログラム言語によって,産業用ロボットの動作を確認できるシミュレータを作成して,干渉しないことを確認できた学生から順次,実機で確認を行う方法で改善を行い,訓練時間の短縮と訓練効果が上がる傾向が得られた. これらのデジタルツインとシステム統合に関する技能に関する学会発表を2件と昨年度から実施している本研究の途中経過をまとめた論文を1件投稿し受理された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書では,模擬実習装置の完成を事業年度末に設定していたが,2020年度にほぼシステム構築が完了しており,2021年度においては,PLMソフトウェアを用いてデジタルツインの検討まで行えるようになった.カリキュラムに関しても2020年度に集合教育による産業用ロボットの試行教育が完了しており,2021年度については,その反省に基づいて産業用ロボットをデジタルツインで操作するシステムを構築し,実習に展開できた.研究成果に関しては,デジタルツインやシステム統合の技能に関する学会発表を2件,論文を1件掲載したことから,“おおむね順調に進展している”と判断する.
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は主に2,3年次に当該カリキュラムを受講した4年生の卒業研究生を対象にする.これまでの研究で構築した模擬実習装置(産業用ロボット3台,移動式ロボット2台)を用いて,①工程を変更する②ビジョンセンサを用いた産業用ロボットの自律化③ICTを用いた模擬実習装置の「見える化」の課題解決に取り組む. 教員はシステム統合のサポートをしながら,産業用ロボットの基本動作を理解した学生が,他システム(ビジョンセンサ,移動式ロボット)との統合をどのようにしてできるかという観点から,このシステム統合に必要な技能を「ロボットSIerスキル標準シート」を参考にして分析を行う,取り組み進捗と技能の到達から技能レベルを把握し,2,3年次に実施した教育カリキュラムへのフィードバックを行う.
|
Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大の影響により,学会発表がすべてオンラインで実施されたこと,物品費においては2020年度に構築した模擬実習装置(産業用ロボット3台,移動式ロボット2台)のシステム改良が主な作業だったため,次年度使用額が生じた主な理由である. 2022年度においては,構築した模擬実習装置を卒業研究で使用することにあたり,追加機能を追加するための新規物品費の購入や学会の参加や論文の投稿を予定しているため,研究の完遂には当初計画案と比較して多くの経費がかかることが見込まれており,次年度使用額を充填する予定である.
|