2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K13866
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
小沼 豊 北海道教育大学, 大学院教育学研究科, 准教授 (50764289)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | いじめの避難訓練 / 援助要請 / 被援助志向性 / 小学生 / ロールプレイ / 実践方略 / 生徒指導 / 学校心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、いじめ研究における科学的実践と援助要請研究を捉えた上で、児童の援助要請を促進するための実践方略を開発することを目的とした。実践方略の開発にあたっては、実際に「援助を求める/求められる」というロールプレイを通した体験的な活動に着目し、「いじめの避難訓練」として体系化を行った。このロールプレイは、「友達に相談する/相談されたら」「電話相談ダイヤルに相談してみる」という2つの台本(シナリオ)を用いて実施した。調査手続きに関しては、(1)2つのクラスの準備(実験群と統制群)、(2)授業前(Pretest)となる質問紙調査の実施、(3)実験群での授業実践(いじめの避難訓練)の実施、(4)授業後(Posttest)となる質問紙調査の実施、(5)3週間後(Follow-up)となる質問紙調査の実施という5つの手続きによって行われた。これらの調査結果を比較し、児童の援助要請に与える影響を検討した。研究成果としては、援助の欲求と態度や援助関係に対する抵抗感、援助要請の利益の認識、援助要請のコスト意識の低下、援助スキルの向上などが確認でき、「いじめの避難訓練」の効果を科学的に実証できた。実際に声を出して「誰かに相談する」または「相談される」というプロセスを経験することで、児童は状況をより個人的(自分事として)に考えることができたと言える。 最終年度には、附属学校の研究成果について、公立学校において検証を実施し、同様の傾向が確認された。その研究成果を学会発表の機会を利用して広めていった。今後は、ロールプレイにおけるペアリングや教員個人そして学校の地域性による影響、対象学年の拡大といった観点から更に「いじめの避難訓練」を精緻化していくことが重要になろう。
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Research Products
(4 results)