2020 Fiscal Year Research-status Report
首長・教育委員会関係の類型とその政策効果:委任理論に基づく実証分析
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20K13868
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
本田 哲也 金沢大学, 法学系, 講師 (40800016)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 首長 / 教育委員会 / 委任 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は議会の影響力を考慮した首長・教育委員会関係の類型化にあたり、理論的な側面から検討を行った。第1に地方政治研究を参照しアクターの利益に関する検討を行った結果、首長が全体利益、議会が個別利益、教育委員会が専門性の利益を志向し、教育政策過程とはこれらアクターがそれぞれ異なる利益を追求する政策過程であることを確認した。これに付随し、異なる利益を追求する首長・教育委員会間での熟議の成立可能性についても検討した。第2に、委任体系に関する議論を参照し、議会の影響力を考慮した首長・教育委員会間関係を図式化した。第3に、政官関係に関する理論研究を参照し、政治家による官僚への委任理由を踏まえ、教育政策過程における首長から教育委員会への委任理由について検討した。 この理論的検討を踏まえ、『地方自治入門』の1章において、教育委員会制度の概要や政治との関係について概説し、研究成果を公表した。また学会年報において、首長・教育委員会間での熟議の成立可能性に関する小論を公表した。そして、学会・研究推進委員会からの依頼に基づき、研究論文を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、理論的な検討がメインとなったが、その研究成果として次の3つが挙げられる。第1に総合教育会議を通じた首長と教育委員会間の熟議に関する小論が学会誌に掲載された。第2にこの小論をもとにした研究論文を執筆することができた。第3に地方自治の教科書に、新教育委員会制度の概要紹介を含む教育政策に関して執筆したものが出版された。このため、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の研究推進方策として次の2点を考えている。第1に先行研究のさらなる渉猟である。政官関係に関する研究はもちろん、比較政治学における執政府・議会関係に関する実証研究にも着目する必要性がある。これらの検討により得られた知見を通じて、首長・教育委員会、首長・議会関係に関する分析枠組みを精緻化する。第2に新教育委員会制度の運用に関するデータ収集である。収集するデータに関しては既に検討を行っているので、それに基づき着実に収集する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍において学会等が中止やオンラインでの開催となったことによる。
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[Book] 地方自治入門2020
Author(s)
入江容子・京俊介編,本田哲也他
Total Pages
408
Publisher
ミネルヴァ書房
ISBN
9784623089383