2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K13891
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
池田 華子 大阪府立大学, 高等教育推進機構, 准教授 (20610174)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 対話主義 / 臨床教育学 / 教育相談 / 事例検討 / オープンダイアローグ / 身体性 / 多声性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度の課題は、主に①臨床教育学の方法に関する課題の整理・分析、②オープンダイアローグ、修復的対話実践を始めとする各種の対話実践に関する文献研究、及びフィールドワーク、の2つであった。 課題①、課題②の文献研究については、対話主義の観点から、教育相談や事例検討会を始めとする従来の臨床教育学の実践内容及び方法を批判的に検討し、その課題を1)解釈という営みそのものが内包するモノローグ性、2)解釈とそれをめぐる対話の手段化、3)解釈に係わる「関係性」や「共同性」の契機に関する考察の不十分さの3点に整理した上で、これらの課題を克服する上で、対話主義が手がかりとなることを示した。 また、以上の考察を通じて、臨床教育学の実践現場への対話主義の導入によって得られる効果を、1)専門家優位のパターナリズムの解消、2)対話における身体性の重視、3)対話を多声性の観点から捉えることの意義が自覚されることの3点にまとめた。これら3点を臨床教育学の実践内容及び方法を捉え直す視点として活用していくことで、その実践・方法の変容や深化が期待される。 上記の成果は、下記の論文として発表した。 ・池田華子「臨床教育学における対話主義の可能性と課題―複数の〈視点〉か複数の〈声〉か―」『ホリスティック教育/ケア研究』第24号、12-29頁、2021年(印刷中) なお、この研究を遂行するにあたって、補助金を用いて臨床教育学、オープンダイアローグ、修復的対話、バフチンの対話論等に関する文献を多数購入した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度に予定していた研究課題のうち、文献研究を中心とする部分については、計画通りに進めることができた。しかし、各種対話実践に関するフィールドワーク(インタビュー調査を含む)については、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、移動制限(出張の自粛)等が求められたこともあり、十分な形では進めることができなかった。また、発表を予定していた学会の開催が延期になる等の影響もあった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も新型コロナウイルス感染拡大防止のための行動の自粛等が、引き続き求められる可能性がある。ただし、昨年度とは異なり、オンライン環境が社会全体で整いつつある。対面での調査に代わる、オンラインでの調査方法についても様々な試みが蓄積されてきている。そうした新たな方法に学びつつ、今年度十分に実施することのできなかったフィールドワークについても、オンライン等を活用しながら実施したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のために、国内出張および海外出張の自粛が求められたり、発表を予定していた学会の大会開催が見送られる等した結果、予定していたフィールドワークやインタビュー調査が計画通りには実施できなかったため。対面での実施計画をオンラインで変更したことに伴い、旅費が不要になったケースも生じた。
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Research Products
(1 results)