2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K13893
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Research Institution | Nakakyusyu Junior College |
Principal Investigator |
惟任 泰裕 中九州短期大学, その他部局等, 講師 (10823619)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 神田乃武 / 読本教授 / 新教授法 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度においては、検定委員・神田乃武についての検討を行った。神田乃武は、「文検英語科」の第2回試験(1886年度)から第38回試験(1923年度:病欠)まで、30年以上にわたって検定委員を務め、「歴史の半分以上に中心的現役として関わり……影響力という点で、第一に取り上げられなくてはならない」(茂住實男「『英語』の試験問題とその分析」寺﨑他編『「文検」試験問題の研究』)と位置づけられている人物である。英語教育史の通説として、「ナチュラル・メソッド」(母語習得過程を外国語の教授法に適用した教授法)の唱道者であったとされるが、この点についての問い直しが必要であった。 今年度においては、神田期の「文検英語科」について、以下の3点を明らかにすることができた。1点目は、求められた学力の骨子が、英語のリテラシーと「文字と結合した音声」であったということである。2点目は、このような学力が、神田が出版した『Kanda’s New Series of English Readers』(1899年:1903年改訂)を念頭に置きつつ、読本を用いた総合的な英語教授のために求められたということである。3点目は、神田の主導のもと、「話すことと読むこと書くこと及び所謂realienなる者を以て主眼とする新式教授法」の原理が、「文検英語科」に導入されていたことである。なお、上記3点については、学会発表をすることができたが、論文化には至っていないため、論文の執筆は令和4年度に行いたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3年度においては、神田乃武が主導した時期の試験問題について、史料をもとに読み解きを深めることができた。ただし、新型コロナウイルス感染症流行のため、新史料の収集が進んでおらず、この点について遅れがみられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、神田以降の時代について、試験問題の検討を進める予定である。加えて、神田の主導した時代についても、教科書の分析や同時代の検定委員に関する検討が必要である。
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Causes of Carryover |
令和3度においては、7545円の次年度使用額が生じた。購入予定の書籍が入手できなかったためである。令和4度に購入する予定である。
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