2020 Fiscal Year Research-status Report
教育機会の不平等における諸要因の関連構造の解明に関する実証的研究
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20K13894
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
上山 浩次郎 北海道大学, 教育学研究院, 講師 (60751089)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 教育機会の不平等 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、教育機会の不平等における諸要因の関連構造のうち、属性的要因と属性的要因の関連について検討を行った。具体的には、地域的変数と社会階層的変数の関連について検討を行った。教育機会の不平等において、社会階層と地域は、それぞれ相対的に独自のメカニズムにより、それら不平等を生成していると思われる。そのため、教育機会の不平等に関する研究でも、社会階層に注目する試みと、地域に注目する試みが存在してきた。ただし、地域を、教育機会の格差・不平等をもたらす独自の属性的な要因として位置づけることについては批判も存在してきた。なぜなら、地域は、社会階層などの他の要因に還元できると解釈することも可能だからである。当該年度は、この点を踏まえて、教育機会の格差・不平等において地域と社会階層という属性的要因がどのように関連しているのかを把握しようと試みた。それにより、地域の影響が、一方で、どの程度社会階層を介して生じているのか、他方で、どの程度社会階層を介さないで生じているのか、という点が明らかになると思われたからである。分析の結果、たしかに、進学行動に対して、地域的変数は社会階層的変数を通して格差を生成していた。だが、社会階層的変数に還元できない形でも地域的変数は格差を生成していた。さらに、両者を比べると、社会階層的変数を媒介しない形の方が、格差を生成する度合いが大きかった。ここからは、地域的要因は、社会階層的要因には還元できない独自の要因であることがあらためて示唆される
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は、社会階層的要因と学力等の業績的要因の関連を検討する予定であった。すなわち、属性的要因と業績的要因の関連構造を把握する予定であった。しかし、幸い、地域と社会階層の関連構造を検討する機会が得られる研究会に参加することとなったため、その点に焦点をあてて検討をすすめることとした。その研究会での検討を踏まえて、2021年度には論文として公表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定であった社会階層的要因と学力等の業績的要因の関連構造の検討を進めつつ、今年度研究を進めることで明らかになった属性的要因と属性的要因との関連構造についてもさらに検討を加えていく予定である。また、要因間の関連構造を把握するには、分析手法について相応の工夫が必要であることから、そうした分析手法についても検討を進める。
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Causes of Carryover |
研究会等参加のための旅費が不要になったため(コロナの影響)及び統計ソフトを次年度以降に購入することにしたため。使用計画としては、統計ソフト等の購入さらに、今後も学会や研究会に関する旅費が不要になる場合を想定し、先行研究の収集・整理を重点的に行うこととする。
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