2023 Fiscal Year Research-status Report
教育機会の不平等における諸要因の関連構造の解明に関する実証的研究
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20K13894
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
上山 浩次郎 北海道大学, 教育学研究院, 准教授 (60751089)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 教育機会の不平等 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、主に2つの研究を行った。まず、第1に、教育機会の不平等に関する研究を性別と所得階層という属性間の関連に注目して行った。具体的には、特定の都道府県の高校2年生を対象とした調査をもとに、彼ら/彼女らの進路希望を、性別・所得階層別・地域別、さらに性別・所得階層、性別・地域別の組み合わせ別に検討した。分析の結果、男子が大学進学、女子が短大専門学校等進学という「タテの性差」がみられること、女子ほど短大専門学校進学という性差は所得階層が低い場合に大きくみられること、上記の「タテの性差」は上記地域内ではいずれの地域でも見られることなどを明らかにした。また、どのような地域に進学するかという進学移動先希望も検討し、女性ほど自宅から通える地域を進学移動希望すること、所得階層が高いほど自県以外の進学先を希望すること、進学先移動先が未定である者は男性の所得階層が高い者で多いことなどを明らかにした。 第2に、特定の都道府県を対象にして、高校ランク(入試難易度)別、高校タイプ(学科)別、設置形態別(公私立)にその都道府県内の高校の地域分布を検討した。具体的には、受験産業が公表している偏差値データをもとに、学科コースごとの偏差値を地域単位で整理した。分析の結果、その都道府県の中心的な都市がある地域で偏差値が高くそれ以外では偏差値が低いこと、地域によっては一定程度の偏差値の高さをもつ職業科がありそのステイタスが示唆されること、私立は地域の人口規模との関連がみられることなどの知見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
補助事業期間を延長したことに関連して前年度計画したプランが実行できなかった。ただ、他方で、上記で触れた2つの研究実績を行う機会に恵まれ、それを形にすることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで行った論文執筆・投稿の準備を踏まえて論文の公表を行う。対面での研究会・学会等への参加を通して情報収集等を行う。
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Causes of Carryover |
その他の業務の多忙、子の養育のために延長申請を行った。使用計画は、今後も先行研究の収集・整理を想定しつつも、学会等の対面開催が増えることが見込まれるため、そこへの参加も検討する。
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