2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K13909
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
安本 博司 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 客員研究員 (20813025)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エスニシティ / 継承 / 在日コリアン / 顕在化 / 地域性 / エスニックネットワーク / エスニック団体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、在日コリアンのエスニシティ継承と地域性との関連、エスニシティの顕在化を可能にするための諸条件を探究することを目的にしている。それらの目的を達成するため、本研究の協力団体より、インタビュー対象者の紹介、情報提供、分析結果に対する助言などの様々な支援を受けることによって、令和2年度においては、在日コリアン3世(3名)、日本と朝鮮半島にルーツのあるダブル(1名)の計4名に対してインタビュー調査、アンケート調査を実施することができた。 本研究は、「地域性」との関わりを重視しており、調査地域である大阪府(主に大阪市内とその周辺地域)の多文化状況や多文化共生関連施策などを理解することが必要なことから、これまで文献を通して理解を深めた。また、自身が所属する「エスニシティ研究会」を通して「多文化共生の観点からのアプローチ」というテーマのもと研究発表大会を令和3年3月に開催し「地域」の課題について理解を深める場を設けた。その研究発表大会では多文化共生に関連した地域活動に従事している者を講演者として招き、加えて様々な専門性を有してる、様々な立場(大学教員や地域活動従事者)から多文化共生に関わる発表をおこなってもらった。具体的には、地域の多文化状況、多文化共生に関わる課題についてである。 以上の研究活動の成果は、自身が所属する「移民政策学会」において、令和3年5月に発表することが正式に決まっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍において、当初は研究計画通りには進めることができず、やや遅れ気味ではあったが、研究協力団体の支援もあり、当該年度においては当初予定していた調査をおおむね完了できている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、引き続きインタビュー調査、アンケート調査を実施する。これまでの調査結果から、エスニシティの顕在化において、家庭、親族がもつエスニックネットワークの重要性が認識できたことから、その部分からの考察を深めたい。また、エスニシティを潜在化させている者へのインタビューが課題としてあげられることから、どのようにアクセスできるか、協力団体とも話し合いアプローチしたいと考えている。 次に、これまでの調査は個別のインタビュー、アンケート調査の実施であったが、それに加え、特定のエスニック団体において、その団体の構成員全体にアンケート調査できるかどうかも調査実施上の課題である。研究協力団体、あるいはこれまでインタビューをおこなった対象者を通して、インタビュー対象者の所属するエスニック団体での調査の可能性を模索し実現したい。合わせて、これまでに明らかになった点についても、その都度、研究会や所属の学会を通して発表していく予定である。 さらに「地域性」を理解するという観点から地域内でのフィールドワーク実施や研究会を開催する。研究会においては在日コリアン当事者を招き、お話を聞く予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍において、学会参加にともなう費用が未使用額となったことから、次年度へ繰り越しとなった。次年度においても、コロナの状況次第では、学会参加に伴う費用等、不透明なところはあるが、いつでも学会に参加できる、あるいは遠方にも調査に行ける体制を整えるためにも予算の確保は必要になってくる。 また調査遂行において必要な経費として、研究協力者への謝金、調査、研究会実施における会場費、研究の方向性や考察を深めるための書籍の購入、その他消耗品等、令和3年度においても、それらの経費は欠かせない。
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