2023 Fiscal Year Annual Research Report
The Role and Influence of Outside Agencies in Regionalization of Higher Education in Africa
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20K13913
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
千葉 美奈 早稲田大学, 国際学術院(アジア太平洋研究センター), その他(招聘研究員) (90822271)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高等教育 / 地域統合 / 教育改革 / アフリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、アフリカにおける高等教育の地域統合が進展するメカニズムを理解するための研究フレームワークの構築を目指し、アフリカ外部のアクター(国際機関、地域機関、二国間援助機関等)の役割と影響に関する調査分析を行なった。本年は、欧州連合(EU)、UNESCO、日本に関して、既存の文献および二次データの調査分析を実施するとともに、情報が得られなかった点に関しては、各機関において関連プロジェクトに関わった職員の登壇する国際会議や講演会等からの情報収集を行なった。 調査分析の結果として、複数の外部アクター間において、アフリカの高等教育の地域統合を推進する目的には共通点があるものの、異なる中心的な関心事が存在していることが明らかになった。EUは欧州のソフトパワー強化に対する関心が強く、日本は国際協力機構(JICA)の政策を中心として、アフリカ人材の頭脳流出への対応を含むアフリカの開発ニーズへの応答や「国際頭脳環流」に重点を置いていた。また、UNESCOは、SDGs第4目標に沿った公平な高等教育へのアクセスの確保を強調していた。こうした主要な外部アクターの戦略は相互に排他的ではなく、高度に関連し合っている。しかし、戦略の背後にあるEUによる欧州のソフトパワー強化に対する強い関心と、他の外部アクターにおけるアフリカの大学間のネットワーク構築に対する優先度の低さは、相互にアフリカの高等教育地域統合の取り組みを停滞させる要因となっている可能性が示唆された。また、欧州高等教育圏の拡大や、ひいては欧州と域外の大学の中心―周辺化の構図につながっていく可能性が示された。本研究の成果は、アジアにおける西洋と非西洋の高等教育システム間の中心・周辺論のアフリカにおける適用可能性を示唆していると考えられる。
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