2020 Fiscal Year Research-status Report
沖縄の平和教育に関する社会学的研究:マイノリティの沖縄戦体験に着目して
Project/Area Number |
20K13925
|
Research Institution | Institute on Social Theory and Dynamics |
Principal Investigator |
玉城 福子 特定非営利活動法人社会理論・動態研究所, 研究部, 研究員 (20843246)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 平和教育 / 沖縄 / 社会学 / 沖縄戦 / マイノリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本軍「慰安婦」、朝鮮人、障害者等の「マイノリティの沖縄戦体験」に着目し、沖縄における平和教育の変遷と今日的な課題を明らかにすることを目的とする。具体的には、以下の3つの調査・研究を行う。調査1では、1970年代から発刊されている平和教育の実践集を対象データとし、内容分析を用いて1960年代に始まった平和教育の今日までの取り組みの変遷を明らかにする。調査2では、平和教育の現在の実施状況を把握するため沖縄県内の小学校・中学校・高等学校等を対象とした質問紙調査を行う。調査3では、アクションリサーチの手法を用いて、教職員、地域史・女性史の研究者らと連携した沖縄戦と日本軍「慰安婦」をテーマにした平和教育の学習指導案および教材等の開発を行い、現場の視点からみた実践的な課題を明らかにする。これらの分析を通じて沖縄における平和教育の変遷と実態を多様性の尊重という観点から再評価を行う。 当該年度は、調査1を中心に研究を進めた。平和教育に関する先行研究の整理を行い、1970年代以降に発刊された沖縄県の教職員のよる実践例を含む資料をリスト化し、資料収集を行った。資料収集については、購入可能なものを古書にて購入し、購入できないものについては、沖縄県内の図書館(沖縄県立図書館、琉球大学付属図書館、西原町図書館)にて閲覧し、ノートPCにて調査票を埋めていった。本研究の主要なテーマであるマイノリティの戦争体験を取り上げた実践例に関するページは著作権のルール内で複写をした。中間的な発表として、9月に、日本解放社会学会の第36回学会大会にて、「沖縄の平和教育の変遷:マイノリティの戦争体験に注目して」と題して、1970年代~80年代の初期の時期に絞った分析を発表を行った。その際、データの解釈や踏まえるべき社会的文脈について、有益なコメントを得た。これを受け、90年代以降のデータについても、整理・分析を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本国内および沖縄県内において、新型コロナウイルス感染の流行が繰り返し起きており、実証研究のために必要であった資料収集に時間がかかった。当初の計画では当該年度内に論文として学術雑誌へ投稿する予定であったが、資料収集の遅れの影響を受け、執筆が遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2021年度については、平和教育の現在の実施状況を把握するため沖縄県内の小学校・中学校・高等学校等を対象とした質問紙調査(調査2)の準備・実施を行う。平和教育の取り組み状況や困難を明らかにすることに重心を置くが、質問項目にはマイノリティの戦争体験がトピックとして取り上げられているかどうかも含める。それに加え、平和教育の変遷(調査1)に関する研究成果をまとめる作業も並行して行う。
|