2021 Fiscal Year Research-status Report
A study on the effects of social support on parents and children
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20K13926
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
野嵜 茉莉 昭和女子大学, 人間社会学部, 講師 (90710278)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 子育て / 幼児期 / 養育スタイル尺度 / ソーシャルサポート / 質問紙法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、乳幼児期の子育て家庭において、親族・社会による様々な形のソーシャルサポートが、親・子それぞれの心理的健康・身体的健康にどのような効果を与えるのかについて明らかにすることを目的としている。 2021年度の成果は以下の2点に集約される。1点目は、幼児期の保護者の養育態度を測定する質問紙の作成である。日本において、幼児期の保護者の養育態度を測定する質問紙は、これまで各研究者のニーズに応じたものが多数作成されてきた。しかしながら、国際的な比較を行う目的で使用できるものはなかった。そこで、伝統的な養育態度の理論にもとづいて英語で作成されており、かつ、多言語に翻訳されている養育スタイル尺度を日本語に翻訳した。翻訳した尺度は信頼性・妥当性が十分であることが確認された。加えて、分析の結果、日本と欧米の養育スタイルには部分的な違いがあることも確認された。2点目に、幼児期の子どもを持つ夫婦を対象にwebによる質問紙調査を実施し、育児支援、親の精神状態、養育行動、子どもの社会的発達の関係について調べた。パス解析の結果、育児支援をどの程度受けているかは、直接的に、また、親の精神状態や養育行動を通して間接的に子どもの社会的発達と関連していることが明らかになった。また、母親・父親それぞれの変数間の関連を比較すると類似点だけでなく相違点も見られた。これらの研究成果について論文を執筆し、国際学術誌、国内学術誌に採択された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国際学術誌、国内学術誌に論文が採択されたことから、尺度作成、質問紙調査による研究ともに順調に進展していると言える。また、所属を異動したことに伴って、新たな研究のフィールドを開拓し、データ収集の準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
質問紙調査は順調に進められている一方、コロナウィルス流行の影響により、子育て・保育の現場に直接入ることは引き続き制約が大きい。対面での調査については、可能な範囲でデータ収集を行いたいと考えている。 また、全世界的に流行しているコロナウィルスは、子育て・保育にも大きな変化をもたらしている。本研究のテーマを踏まえると、コロナウィルスの流行が保護者や子どもにどのような影響を及ぼすのか検討することは不可欠である。2021年度に異動した所属先において新たな研究フィールドが得られたことから、当初の研究計画を拡張し、国際的に子育て・保育にどのような問題が生じているのかを量的研究から検討することを計画している。
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Causes of Carryover |
コロナウィルス流行により、参加を予定していた国内学会がすべてオンライン開催となった。そのため、当初予算に計上していた旅費の支出が生じなかった。 使用計画は以下の通りである。国内学会の対面開催が徐々に再開されているため、次年度は旅費の支出が見込まれる。また、対面での調査の実施に備えた発達調査用具の購入、質問紙調査における自由記述のテキスト分析を実施するためのソフトの購入に使用することを計画としている。
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