2020 Fiscal Year Research-status Report
子どもの自殺念慮と親の気づきに関する要因ー子どもの自殺予防にむけてー
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20K13931
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
後藤 彩子 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (60828002)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自殺 / 子ども / 親 / 自殺予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
わが国の子どもの自殺率は他の先進国より高く、深刻な社会問題となっている。子どもの自殺予防に重要なのは、周囲の大人が子どもの自殺念慮にいち早く気づき、適切な支援や治療につなげることである。しかし子どもは自殺念慮を自らは周囲に打ち明けない傾向があり、子どもが自殺を企図してはじめて大人がそれに気づくことも珍しくない。“子どもの自殺念慮は気づかれにくい”という点は、子どもの自殺予防に取り組むにあたり大きな課題である。しかし子どもの自殺行動への親の気づきに関する研究は不十分であった。そこで本研究は「子どもの自殺念慮への親の気づきに影響する要因を特定すること」を目的とした。本研究により自殺念慮が見過ごされやすい子どもが判明すれば、早期の支援や治療介入が可能となり、子どもの自殺を予防するという社会問題の解決に寄与できるものと考える。 本年度より、大阪市立大学大学院医学研究科倫理委員会の承認を得て、大阪市立大学医学部附属病院の児童精神科専門外来に通院する小・中学生とその保護者を対象とし調査を開始した。知的障害およびコントロール不良のてんかんなど器質的疾患の併存する者は対象から除外した。親子それぞれ分離面談を行い、子どもに対しては過去半年間における自殺行動(自殺念慮、具体的な手段の計画、自殺企図)の有無を確認し、親に対しては子どもの自殺念慮の有無を確認した。 子どもの自殺行動のそれぞれの段階においての親の認識率を明らかにする。これまで子どもの自殺行動に関与すると報告されている要因(うつ、衝動性、女性、物質乱用、自傷、親のうつ、身近な人の自殺など)を含め、子どもや親、環境別の要因を分析し、親の気づきに影響するものの特定をめざす。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は大阪市立大学医学部附属病院の児童精神科専門外来に通院する小・中学生150名とその保護者を対象とすることを目標としていたが、COVID-19拡大の影響により外来患者数が減少し、対象数はおよそ60名にとどまった。また同理由から倫理委員会からの承認も遅延し、研究開始に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もCOVID-19拡大の影響が続き当初の計画から遅れが生じることが予想されるが、引き続き調査を行い対象者数を増やしていく。国内外の学会や研究会は中止や延期されることが多い状況が続いているが、オンライン開催など含め、研究成果を発表できるよう検討していく。
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Causes of Carryover |
COVID-19拡大の影響により研究開始や進捗に遅れが生じている。また参加予定であった学会や研究会などが中止・延期となった。次年度はCOVID-19の状況を鑑みながら、ひきつづきデータを蓄積し、学会や研究会などで研究成果を発表していく。
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