2022 Fiscal Year Research-status Report
幼児期の非標準型描画活動が実行機能の発達に及ぼす影響―保育現場への支援に向けて―
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20K13933
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
進藤 将敏 北海学園大学, 経営学部, 准教授 (70767756)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 幼児 / 描画 / 実行機能 / 感情 / シングルケース |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、描画と実行機能の発達の因果性を明らかにするため、実行機能系の指標である感情面の発達に焦点を当てた。4歳児1名に対するシングルケースデザインによる介入実験として、自己と他者が関わるテーマで描画活動を実施し、自己の行動および感情面の理解(自己理解)および他者の行動および感情面の理解(他者理解)に及ぼす影響について調べた。約4ヶ月にわたる縦断的検討をした結果、描画活動期の後半において、自己の行動および感情についての言及数が増加し、一定の効果量が認められた。このことは、描画が実行機能系の発達を促す可能性を支持する結果であると見なせる。一方で、他者の行動および感情についての言及数は少なく、ほとんど変化がなかった。このことは実行機能の質問紙における感情制御の評定点の低さにも反映されていたと解釈された。今後は、描画の発達が自己の感情面に関する理解を促し、その後、他者の感情面の理解が生じる可能性について検討する必要がある。加えて、人物画における身体動作などの表現の発達が標準型から非標準型へ変化するにしたがって、感情面の発達が相関するか否かについての検討も課題として挙げられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
比較的長期にわたる介入調査ができ、実行機能系の発達における描画活動の有効性を示せたため。
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Strategy for Future Research Activity |
描画表現の発達と自己理解・他者理解(ともに実行機能の発達が深く関わる発達領域)との発達連関を示すための分析と考察を進める予定である。具体的には、前年度までに行った身体動作の描画表現(人物の動きの描写)の発達段階モデルを用いながら、描画の発達が自己・他者の感情理解の発達とどのような関連をもっているのかを検討したい。
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Causes of Carryover |
前年度同様、調査や実験が難しい社会状況の影響が続き、旅費や人件費の消化が進まなかったためである。次年度は、社会状況が緩和されたこともあり、データ収集にかかる旅費、人件費、その他物品について経費がかかる見込みであるため、次年度使用額が生じる。
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Research Products
(2 results)