2021 Fiscal Year Research-status Report
発達の気になる子どもを持つ親のストレスへの育児支援プログラムの開発研究
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20K13941
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Research Institution | Kyoto University of Advanced Science |
Principal Investigator |
橋本 かほる 京都先端科学大学, 健康医療学部, 准教授 (10748619)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 発達の気になる子ども / 育児ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
保育所入所の低年齢化が進むなか、こだわりが強い、コミュニケーションが苦手、集団行動が苦手など発達の気になる子どもの数が増えている。これらの発達特徴をもつ子どもに対して、親は何かしら困難さを抱えストレスをもっている。福井市では、特別な配慮が必要な子どもへの支援を強化していくために2012年度より、障がい児健全育成事業として研究指定園による親子療育教室の研究を開始し、子どもが在籍する保育所で行う療育の形態の有用性について、保育士ならびに保護者アンケート調査で報告している。子どもの在籍する公立保育所における親子参加型の療育は、全国に先がけた新規的な取り組みである。 本研究は、親子療育教室に参加を希望する発達の気になる子どもをもつ親に対して、親の育児ストレスを分析し、子どもの側面と親の側面からストレス因子を抽出した上で、子どもの発達特性に応じた保育を親と連携して行う一連の育児支援プログラム開発を目的とする。 2021年度の成果として、発達の気になる子どもをもつ親の育児ストレスについて日本版PSIを用い、親のストレス状況を調査し、親自身の状況や子どもの発達プロフィールから検討を行った。育児ストレスが高値であった親は全体の18%で、ストレス総点やストレス側面の偏りから今後専門家の介入も視野に入れた育児支援の必要性が示唆された。また、「退院後の気持ち」に高いストレスがある親の80%に妊娠中・出産時から退院までの経過で何らかの記載があることがわかった。子どもに関する下位尺度の項目数が親に関するものより多かったものは82%であった。「子どもの機嫌の悪さ」については63%の親が高いストレスを示し、その内容として目覚めの悪さや拒否反応が強いという子どもの行動特徴が示された。今後、育児ストレスをふまえた親支援に向けてデータの蓄積と保育士の親理解と対応という側面からの検証が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究代表者は2020年7月に研究計画を京都先端科学大学研究倫理審査委員会に提出し2020年9月2日に承認を得た。研究代表者は2020年11月被験者となる発達の気になる子どもの親7名、その担任保育士6名、2021年8月に子どもの親4名とその担任保育士5名に口頭と書面で説明を行い研究参加の了承を得ている。 2021年度の研究計画は以下の研究2、3、5について進めた。研究 2.発達の気になる子どもを持つ親の育児ストレス調査と分析(2020年度7名、2021年度4名のデータ収集をし分析を行った)。研究3.発達の気になる子どもの基本情報[年齢、性別、生育歴、発達歴、基礎疾患、診断名、療育履歴、家庭環境(家族構成、出生順)]調査については2020年度対象児7名、2021年度対象児4名のデータ収集を得た。研究5.発達の気になる子どもを担任する保育士への育児支援アンケ―ト調査(2回実施)と分析。2021年度は6名に実施。2021年度は対象施設のコロナウィルスの感染拡大で施設への出入りができず、データの収集が2022年5月以降に持ち越されている。また、被験者数も感染対策で少数となり、2021年度は4名のみと限定された。 当初の計画では1年間で10名前後の被験者のデータ収集が予定されていたが、2年間で11名のデータ数にとどまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の研究計画として、研究代表者は被験者となる発達の気になる子どもの親、その担任保育士に口頭と書面で説明を行い、研究参加への了承を得る。2022年度もコロナウィルス感染症による親子療育教室の人数制限があり、2021年度なみの少人数による教室運営の予定である。そのため、データ数が予定よりかなり少なくなることが予想される。データ数の確保について、研究期間を延長し確保する予定である。 一方で、2年分の親のストレス状況についてのデータについては2022年3月に論文として発表できたため、2022年度については保育士のアンケート調査についてデータ分析を進め報告書を作成する予定である。
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Causes of Carryover |
2021年度に統計ソフトの購入を予定していたが、2022年度の購入としたため。国内の学術集会への出張がコロナウィルス感染症拡大により自粛制限があり、遠方への出張ができなかったことによる交通費の出費が予定より減額したことが大きな使用額変更理由である。 2022年度の使用計画として、統計ソフトの購入と検査関連の購入を予定している。
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