2020 Fiscal Year Research-status Report
自閉症児特有の感覚特性から生じる困難を「見える化」する
Project/Area Number |
20K13942
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
宮崎 仁 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (20550396)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / ICT / 情報共有 / 位置情報 / ジオフェンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,感覚特性をもつASD児がどのような場所でどのような困難に遭遇したのか,外出していても安心できる場所はどこか,などの位置情報を含む生活活動情報をスマートフォンで記録し,支援者に情報共有できるシステムを開発するものである. 初年度は,ASD児の感覚特性による困難や対処について家族はどのような共有の形を望むのかについての情報収集を,コロナ禍であったためZoomやメールなどを利用して遠隔で行った.当事者や家族や支援者が参加する日本自閉症学会の研究大会が中止となったため,新しく知り合うことはできなかったが,これまでに出会った方々から情報を得た.システム開発では,どのような場所でどのような困難に遭遇したのかをスマートフォンに記録し,登録した場所に近づいた際にお知らせをする機能を開発し予備実験した.概ね順調に動作しており,登録した場所に近づくとスマートフォンに通知があり,バイブレーションや音で知らせることができた.現在の実装方法では,登録できる場所の数に制限があるため,まだ改善の余地がある. 現在のシステムでは,本人のスマートフォンにのみ情報は記録され,研究目的にあった「共有」の機能はまだ備わっていない.例えば,通学路に何があるのかを学校の先生へ共有できれば,また,地域の身近なところに何があるのかを周囲に共有できれば,ASD児の外出時にも適切な支援や配慮を得られる可能性がある.外出する前に,どの場所にパニックの原因があるのかを知ることができれば,児に嫌な思いをさせずともすむ可能性がある.この必要性と可能性への対応(見える化)が本研究の目的であるため,本年度では,共有機能の実装に取り掛かる予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は,初年度は,ASD児の感覚特性による困難や対処について家族はどのような共有の形を望むのかについての情報収集を行い,地図アプリを利用した情報共有システムを開発する計画であった.この実施計画に基づき,情報収集とシステム開発に取り掛かった. 情報収集についてはコロナ禍であったためZoomやメールなどを利用して遠隔で行った.当事者や家族や支援者が参加する日本自閉症学会の研究大会が中止となったため,新しく知り合うことはできなかったが,これまでに出会った方々から情報を得た.システム開発では,どのような場所でどのような困難に遭遇したのかをスマートフォンに記録し,登録した場所に近づいた際にお知らせをする機能を開発し予備実験した.概ね順調に動作しており,登録した場所に近づくとスマートフォンに通知があり,バイブレーションや音で知らせることができた.現在の実装方法では,登録できる場所の数に制限があるため,まだ改善の余地がある. 現在はバイブレーションや音で通知をするだけであるが,例えば,どのような場所に近づいており,どのような事例があるのかなどを合わせて表示するような機能をもたせることができるのではないかと考えいている.
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Strategy for Future Research Activity |
ジオフェンスと呼ばれる機能を実装し,登録した場所に近づいた際にスマートフォンにお知らせをすることができるようになった.一方で,バイブレーションや音でお知らせをするだけであったため,どのような場所なのか,どのような困難があるのかなど,事例情報も合わせて提示する機能を実装する.また,現在のシステムは本人のスマートフォンにのみ情報は記録され,他者との情報共有はまだすることができない.本研究の目的である情報共有による困難の見える化を達成するために,共有機能を実装する予定である. 特に位置情報を含めた事例情報の登録と共有の機能は,これまでに研究者らが開発してきた感覚特性サポートアプリYOUSAYと連動して動作するように実装する予定である.
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Causes of Carryover |
(理由)コロナ禍の中で情報収集や進捗報告のための学会発表の出張が全てキャンセルとなり,出張旅費を計上しなかったため. (使用計画)対面での情報収集や研究報告が可能となれば出張旅費として使用する.かなわない場合は,システム開発費として使用する.
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