2021 Fiscal Year Annual Research Report
ICT活用による幼児期の音楽表現の可視化と「聴き方」の変化
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20K13944
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Research Institution | Tsukuba International Junior College |
Principal Investigator |
仲条 幸一 つくば国際短期大学, 保育科, 講師(移行) (80838201)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 保育 / 表現 / ICT / サウンド・エデュケーション / 音楽づくり |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、まず、本研究者が立案したICTを活用して音楽表現を可視化するプロジェクトについて、大学生67名を対象に実践し、質的な分析調査の中から期待できる学習効果について明らかとした。また、保育の質の向上を音楽経験の視点から目指すことを目的に、幼児期の音楽をつくる活動と聴く活動にICTを活用したプロジェクトを立案し、実践をおこなった。幼児を対象とした実践として具体的には、私立幼稚園5歳児クラス34名を対象に1年間の音楽指導を実施する中で、ICTの持つ多様な機能の中から「録音」、「重ね録り」、「ループ」に注目したプロジェクトを約2ヶ月間実施した。「ループ」とは、録音した音が即座にその場で音響的に再生を繰り返す手法であり、表現した音がすぐに再生され続けることに特徴がある。実践では、「ループ」を可能とするICT機器としてループマシン(BOSS社RC-30)を採用し、ループマシンに接続されたマイクの前で幼児自らの足音を即興的に表現し、音を重ねていく活動を行った。重ねた音はループの機能によってその場で再生され続けるため、常に幼児は自らの表現した足音が鳴り響く音響空間に身を置くこととなった。本来一過性である音・音楽が、ICTの活用によって、自分達が表現した音を繰り返し聴きながら、場所を変えたり、複数の幼児で協同的に音を重ねるといった活動を継続した。この一連の幼児の活動について、ソフトウェアELANによる動画分析、担任教諭へのインタビュー、完成した幼児の音楽作品に対するスペクトラム分析を行った。その結果から、幼児期の音楽づくりにICTを用いることの教育的意義について考察し、「環境に対する多角的視点の提供」、「幼児の音遊びの拡充」、「音楽表現の萌芽の理解」の3点について知見を得た。得られた知見については、関連学会誌への投稿(現在、査読審査中)および研究発表・シンポジウムにて発表を行った。
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