2022 Fiscal Year Research-status Report
子ども福祉施設における幼児教育実践と母性規範・新教育思想の関係に関する社会史研究
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20K13948
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
稲井 智義 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (30755244)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 子ども福祉施設 / アナーキズム / 『「保育の質」を超えて』 / 子ども観の社会史 / 教育思想 / 幼児教育 / 裁縫教育 / 戦後日本 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年11月に博士論文とその後の小論を基にした単著を刊行した。この単著は、近代日本の子ども福祉施設と教育思想の社会史研究であり、石井十次から冨田象吉、高田慎吾へと至る子ども福祉施設指導者の思想と活動を明らかにした。単著では今年度に小論で扱った子ども福祉施設とアナーキズムについても論じた。アナーキズムと教育に関する研究に着手できた点でも意義がある。 自著紹介も執筆した。https://www.u-tokyo.ac.jp/biblioplaza/ja/A_00236.html。 他に岡山孤児院の裁縫教育と幼児教育の担い手に関する小論、「かもしれない世界と異界を覗き込む力」に関する小論を執筆した。前者は、孤児院女性職員の仕事に関する研究に着手するものである。後者は佐伯胖の幼児教育論について検討したものであり、本研究の現代的意味を示すうえで必要な作業である。幼児教育における政治教育やアナーキズムについての検討は今後の課題である。 さらに『「保育の質」を超えて』および子ども観の社会史研究に関する研究ノートをそれぞれ執筆した。ここでは当該著作の意義を論じながら、本研究課題に関わる日本の幼児教育福祉史の研究動向について検討した。特に前者では、英語で単著で書かれた保育所の歴史研究(1999年)の概要を翻訳して紹介しながら、戦後日本の母親に注目する特徴を指摘した。後者でも、同じ保育所の歴史研究における戦後日本の親子関係に関する記述を翻訳して紹介した。同書については、今後も検討と読解、翻訳を続けていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
単著刊行は当初の計画よりも一年遅れたが、最新の研究動向に留意してまとめることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は依頼を受けて進めた研究成果も公表される見込みである。英語著作を解読し全訳するという本研究の中核的課題に注力したい。
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Causes of Carryover |
適正に執行した結果である。次年度も適切に使用する。
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Research Products
(7 results)