2021 Fiscal Year Research-status Report
幼児の造形表現活動における保育者の表現観および実践知と子どもの育ちの関連性の検討
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20K13953
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
佐川 早季子 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (90772327)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 造形表現 / 保育者 / 環境構成 / 実践知 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、表現活動スタイルが、子どもの行動にどのような影響を与えるのかを検討することである。造形表現活動の活動・指導スタイルについては、(1)子どもが主体になって行う「自発活動」、(2)保育者が選んだ課題を中心に行う「課題活動」、さらにその間で(3)保育者の発問と指示によって誘発され,子どもが動く「触発的活動」の3つの型に分類できる(槇, 2008)。このうち、当該年度は、(1)子どもが主体になって行う「自発活動」を行う保育所で観察調査を行い、活動中の子どもの表現プロセスについて分析をした。 子どもの表現プロセスを分析する指標として、子どもが他児の活動を傍観する回数および時間、子どもがモノを「見せる」行為、モチーフ(つくろうとするもの)に関する発話、子どもが素材を扱う手指の動きの多様さを導出した。 観察調査の結果、子どもが主体になって行う「自発活動」では、「素材との出会い」を目的とした環境構成が重要であることが示された。すなわち、素材の材質、形態、使いやすさ、道具の出し方に配慮した環境を保育者が構成することで、子どもたちが自分の身体を通して素材とかかわり、その特性に気づき、発見することができると考えられる。その素材やモノがもつ物質性や特徴、潜在的にもつ動きの可能性は、無造作に置いておいても気付くことはあるが、教育・保育の場では、保育者がその特性を感受し、子どももその特性に、触覚・視覚・聴覚・嗅覚等、様々な感覚で触れられるように配慮することが望ましいといえる。素材の特性や可能性を意識して環境構成を行うか否かで、上述の指標で分析した子どもの行動に違いが見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度に予定していた観察調査を, 新型コロナウイルス感染症流行の状況下で実施できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画にしたがって、質問紙調査を実施する。
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Causes of Carryover |
国際学会への出張がなくなったため、使用額が予定より少なくなった。次年度は、国際学会での成果発表と質問紙配布と分析に前年度までの残額も含め使用する計画である。
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Research Products
(4 results)