2021 Fiscal Year Research-status Report
精神疾患患者の子ども支援;主治医、患者、患者の子、3方向同時心理教育ツールの作成
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20K13963
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
松岡 美智子 (向野美智子) 久留米大学, 医学部, 講師 (80461458)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ヤングケアラー / 子ども支援 / 精神科患者の子ども / インタビュー調査 / 心理教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
精神疾患を持つ親の子どもの支援は現在の日本では確立していない。しかし、精神疾患を持つ患者が子育てを開始する、あるいは行なっている時点で「患者の子どもへの支援」という視点を医師が持つことにより、患者に対してはより充実した子育て支援が可能となり、子どもに対しては問題発生の予防、あるいは早期発 見が可能となる。その結果支援者の負担も軽減でき、長期的には精神疾患を持つ親の子どもの精神疾患の発症を抑制することができる可能性があり、医療費の削減にもつながるのではないかと考える。「精神疾患患者の子ども支援」を始めるにあたり、まず実態調査が必要である。そこで、精神科通院中患者の子育て状 況、及び精神科通院中患者の子どもの置かれる現状や求める支援、更に精神科主治医が患者の子どもへ介入することの阻害因子を明らかにすることが本研究の目的である。久留米大学精神神経科外来に2000年4月以降初診し、現在も通院中で、6歳~18歳の子どもを持つ患者及び患者の子どもと患者の主治医を対象とする。目標症例数は患者8例、患者の子ども8例。親子別々にインタビューすることを計画しており、それぞれに1回ずつ研究責任者による1対1の形式で約60分間インタビュー (半構造化面接)を行う。現在までに8組の親子にインタビューを行った。患者:女性のみ(統合失調症、うつ病、適応障害、てんかん)、30-50歳代。子ども背景:男児3名、女児5名、小学2年生-高校1年生。今後男性患者への調査も行い、結果を解析する予定である。本研究を開始する契機となった症例4例について症例報告として論文化した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本来2021年度には心理教育ツールの作成完了予定であった。COVID-19感染症流行に伴い、インタビュー調査の開始が遅れたため調査、解析が遅れており、ツール作成は途中段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後男性患者とその子どもへの調査を行い、それを含めて解析する予定。その後、子どもへ親の精神疾患について説明する心理教育テキストを作成予定である。その後、作成した心理教育ツールを用いた介入の、効果検証を行う。介入の結果、患者の子どもが正しい精神疾患の知識を得たり、援助希求能力が高 まったり、自己評価が上昇したりするような効果を得る事ができるのか評価を行う。どのような形で子どもへの支援を開始することができるのか、慎重な検討が必要である。
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Causes of Carryover |
COVID-19感染症の流行に伴い、調査開始に遅れが生じた。その結果、今年度作成予定であった心理教育テキストの作成が完了せず、予算を使用することができなかったため。
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