2023 Fiscal Year Research-status Report
精神疾患患者の子ども支援;主治医、患者、患者の子、3方向同時心理教育ツールの作成
Project/Area Number |
20K13963
|
Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
松岡 美智子 (向野美智子) 久留米大学, 医学部, 講師 (80461458)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | ヤングケアラー / 心理教育 / 精神疾患患者の子ども / 子ども支援 / 心理教育ツール |
Outline of Annual Research Achievements |
精神疾患を持つ親の子どもの支援は現在の日本では確立していない。しかし、精神疾患を持つ患者が子育てを開始する、あるいは行なっている時点で「患者の子どもへの支援」という視点を医師が持つことにより、患者に対してはより充実した子育て支援が可能となり、子どもに対しては問題発生の予防、あるいは早期発見が可能となる。現在注目されているヤングケアラー支援にもなると考える。「精神疾患患者の子ども支援」を始めるにあたり、実態調査として、久留米大学精神神経科外来に2000年4月以降初診し、現在も通院中の6歳~20歳の子どもを持つ患者及び患者の子どもと患者の主治医を対象にインタビュー調査を行った。9組の親子にインタビューを行い、調査の内容について日本精神神経学会にて学会報告を行い現在論文を執筆した(女性患者6名、男性患者1名;統合失調症、気分障害、適応障害、てんかん。患者の子ども;男児4人、女児5人)。【子どもの心とからだ誌、アクセプト済み。2024年11月掲載予定】。2023年度にはインタビュー結果に基づいた心理教育ツール「あなたのたすけになるかもしれない本」を作成し、学会や研究会にて啓発活動を行っている。日本小児心身医学会にてテキストを紹介する発表を行い、現在は学会発表の内容に関する論文を執筆中である。 2024年度は、作成した心理教育ツール使用による効果について検証を進める研究計画を作成しており、倫理委員会の承認が得られ次第、介入研究を開始する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID-19感染症の流行に伴い、当初予定していた対面でのインタビュー調査の開始が1年以上遅れたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
精神疾患患者の子どもを対象とした心理教育テキスト「あなたのたすけになるかもしれない本」が昨年完成した。すでに作成したテキストは学会や研究会の場で配布を開始しており、精神疾患患者の子ども支援の必要性を啓発しているところである。今年度は、作成した心理教育ツールを用いた介入の、効果検証を行う。介入の結果、患者の子どもが正しい精神疾患の知識を得たり、援助希求能力が高まったり、自己評価が上昇したりするような効果を得る事ができるのか評価を行う。また、何歳ごろから親の精神疾患に関する説明を行えるのかに関しても検証予定である。
|
Causes of Carryover |
COVID-19感染症流行に伴い研究開始が1年遅れたため、研究計画の最終段階である心理教育テキストを使用した効果検証が終了していない状況である。次年度には本助成金にて作成した心理教育テキスト「あなたのたすけになるかもしれない本」を使用して介入を行い、効果について検証する予定であり現在倫理委員会に研究計画を提出している。残金は研究協力者への謝金と介入を行う心理士への人件費として使用予定である。テキストが不足した場合にはその追加印刷も予定している。
|