2021 Fiscal Year Research-status Report
理科における変容的アセスメントの方略モデルの構築と授業の開発
Project/Area Number |
20K13969
|
Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
渡辺 理文 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (30758363)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 学習評価 / 形成的アセスメント / 変容的アセスメント / 理科学習 / 学習のための評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、理科において、自己調整学習能力の育成に寄与する評価方略モデルの構築と授業の開発を目的とする。平成30年度に実施された全国学力・学習状況調査において、理科では、子どもが問題解決のために自律的に思考し、思考した内容を自分なりに表現する力に依然として課題があることが明らかになった。この課題の解決のためには、自分の学習を調整する力の育成が必要である。 評価方略モデルの構築に関して、変容的アセスメントの理論的方略に着目した。変容的アセスメントとは、形成的アセスメントを繰り返し行うことで、子どもの概念の変容を促し、自己調整学習能力の育成を促す評価方略である。変容的アセスメントの実現のために,まずは形成的アセスメントの方略に焦点を当てた。その方略は,Wiliam(2010)を援用した。方略は(1)学習目標の共有・理解,(2)学習成果の表出,(3)フィードバック,(4)相互評価,(5)自己評価の5つである。この5つの方略を基にして授業実践を行った。 小学校第5学年理科「物の溶け方」の学習内容を対象に実践した。実践した授業では,教師と子どもが学習目標を共有し,子どもが表現活動により学習成果を表出し,教師がそれを基にしてフィードバックを行っていた。また,学習は子どもの相互評価と自己評価が行われることで進められていた。授業実践では,子どもが自己調整的に学習を進め,物質の水への溶解についての素朴概念を科学的なものへと変容をさせていた。 さらに,教師は授業前に計画して実施した自身の指導を反省的に振り返り,修正や改善を図ることで,次の時間の子どもの学習を適切に支援していた。このような計画を反省的に振り返り指導を修正することで,子どもの自己調整的な学習の支援になっていた。 以上のように,形成的アセスメントの実施と繰り返しによって,自己調整学習能力の育成を支援する様子を事例として示すことができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小学校段階の理科において形成的アセスメントの方略に基づいて授業実践を行い,事例を提示することができた。中学校段階における実践は行っていないが、現在計画中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
中学校段階での授業実践を計画して実践を行う。また、小学校段階で他の学習内容においても形成的アセスメントの事例的研究を行い、形成的アセスメントの繰り返しによる変容的アセスメントが実現される様子を示す。そのような事例に基づいて,変容的アセスメントの方略モデルの精緻化を図る。
|
Causes of Carryover |
学会参加がオンラインであったため「旅費」を使用しなかった。また、コロナ禍の影響で授業の調査に関して、学校への調査の受け入れの延期があり、授業実践で使用する「物品費」と研究補助の学生への「人件費・謝金」に余剰が生まれた。次年度ではデータの取得と分析,学会への参加において「物品費」「旅費」「人件費・謝金」を使用する。
|