2021 Fiscal Year Research-status Report
音楽科授業における子ども間の協同の成立過程に関する教育実践学的研究
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20K13972
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
兼平 佳枝 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (50613668)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 協同 / 共同活動 / 共感 / 音楽科授業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、音楽科授業において子どもがいかに協同を成立させていくのか、その成立過程を教育実践学的な研究方法で明らかにすることである。 2020年度はデューイの協同概念について理論研究を中心に音楽科の事例分析を行い、それが音楽科授業実践ではどのように解釈できるのかを試みた。しかし、理論研究をさらに精緻化することが課題として残ると共に、新型コロナウィルスの影響もあり、理論研究を基盤とした授業実践の見通しが立たなかった。 そこで、2021年度は、まず、前年度の研究成果を基に、デューイの協同概念についての更なる理論研究の精緻化を試みた。そのために、これまでの研究成果を基にさらなる文献研究を進めることで、デューイにおける社会的探究に着目した。まず、デューイ実験学校で行われていたオキュペーションを学校における社会的探究ととらえ、実験学校でのオキュペーションで行われる共同活動の実現を協同の成立ととらえ直した。そして、実験学校における事例を分析した結果、子どもがいかにかかわり合うことで、協同が成立しているかについて明らかにすることができた。そして、この研究内容に関しては、日本デューイ学会で口頭発表し、研究成果を論文にまとめた。 この成果により、オキュペーションに基づいた共同活動を実現することが、協同の成立の授業モデルとなることが明らかになった。そこで、音楽科授業における共同活動を具現化するため、オキュペーションとしての図形楽譜づくりの音楽鑑賞授業の授業デザインを行い、研究協力者による研究授業を計画した。しかし、新型コロナウィルス感染拡大の影響による学校の諸般の事情によって研究授業が延期になった。2022年度早々に実践予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年次では、昨年の研究成果をふまえつつ、さらに、協同に関する理論研究を精緻化することができた。まず、オキュペーションにおける共同活動に着目してその要件を見出し、共同活動の成立によって生じる「人と人との関係」を協同の確立ととらえることとした。そして、実験学校で行われたオキュペーションの事例を分析することで、それらの要件が子どもの具体の活動でどのように関連し合っているかを明らかにし、学会で発表することができた。 さらに、そこでの理論研究を踏まえ、コロナ禍であることを考慮し、鑑賞、器楽、創作を中心に様々な教材を概観して教材研究を行ったうえで、共同活動を具現化することが可能となる音楽科鑑賞授業を計画することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、3年計画の最終年次となる。 2022年度においては、計画した音楽科鑑賞授業を研究協力者の協力によって実践し、そこでの子どもの学びと共感との相互関連を分析することで、協同の成立過程について明らかにしていく。授業実践にあたっては、購入した備品となるICT機材をフルに活用していく。 そして、実践分析の結果をもとに、音楽科授業における子ども間の協同の成立過程にみる音楽科ならではの特性や意義について考察していく。研究結果は学会で口頭発表し、論文にまとめて公表することとする。
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Causes of Carryover |
2021年度に参加した学会もすべてオンラインになったと共に、新型コロナウィルス蔓延のため、研究協力者との打ち合わせや授業実践のための出張の機会も減ったため、旅費が減少した。研究授業も実践できなかったため、授業記録作成に向けての人件費も生じなかった。残額については最終年度の研究の遂行に充当させる。
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