2022 Fiscal Year Annual Research Report
音楽科授業における子ども間の協同の成立過程に関する教育実践学的研究
Project/Area Number |
20K13972
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
兼平 佳枝 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (50613668)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 音楽科授業 / 協同 / 共感 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、音楽科授業において子どもがいかに協同を成立させていくのか、その成立過程を教育実践学的な研究方法で明らかにすることである。これまでの研究では、芸術的経験としての音楽科授業やデューイスクールにおけるオキュペーションにおいて協同がいかに成立するかについて、デューイの教育哲学に依拠して、協同に関しての理論研究を中心に行ってきた。その中で、共感が協同を成立させるキーワードとなっていることがわかった。 そこで最終年次の本年度は、これまでの理論研究をもとに、「協同」を協同的な学習という観点からとらえ直し、音楽科における協同的な学習のプロセスにおいて、学びと共感がいかに関連するかについて明らかにすることで、音楽科における協同の成立過程を明らかにできると考えた。そのために、先行研究において共感が起こりやすいとされている、オキュペーションとしての「図形楽譜づくり」の音楽科鑑賞授業を、本学附属小学校高学年および大阪市内公立中学校において実践した。そこでの学習指導案は筆者が作成し、授業者との協議のうえで修正しながら学年を違えて実践した。そして、子どもの具体の姿から共感が起こる過程において学習がどのように関連するのかを見ていくことで、協同の成立過程を分析した。この研究成果については日本学校音楽教育実践学会第27回全国大会で口頭発表し、さらに『学校音楽教育研究』第27巻に論文として掲載された。 本研究全体を通して、「協同」についての理論研究を基に、音楽科授業における子ども間の協同の成立過程を共感とのかかわりから明らかにすることができた。今後は、本研究成果を大学での学生教育に還元すると共に、関西近郊を中心に実施される教員向けの研修会の内容等に盛り込むことで、現場の教員が今後音楽科授業をデザインしていくうえでの一助になるよう努めていきたい。
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