2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K13975
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
中野 登志美 宮崎大学, 教育学部, 准教授 (10757909)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 文学教材 / 批判的思考力 / 批評読み / 比べ読み / 教材分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、本研究の研究課題となる批判的思考力を育成するための基盤となる理論を考案し発表するまでに至った。この理論は、岸本憲一良・中野登志美監修『小学校国語科「提案読み」「批評読み」の課題・発問モデル』(明治図書、2021年9月)で発表している。拙著では「批評読み」の理論の執筆に携わった。「批評読み」の理論は、本研究のテーマである比べ読みをすることによって批判的思考力を育成するための根幹となる理論である。批判的思考力の育成を目指した理論を考案することができたのは、本研究を推進する上で重要となる。「批評読み」の理論を構築できたことは大きな成果となった。 この「批評読み」の理論に基づいて小学校1~6年生の子どもたちを対象に授業実践を行った。「批評読み」の理論に基づいた指導法を取り入れた授業実践では、小学校の文学的文章の授業において、子ども達の批判的思考力(批評力)を育成することができる指導法として有用性が認められた。その成果を拙著で出版することになった。批判的思考力を育成するための理論を考案しただけにとどまらずに公表できたことは、本研究の成果である。 今後は「批評読み」の理論をさらに、本研究のテーマである「比べ読み」に焦点化した研究に取り組む予定である。現在、高等学校の文学教材を対象にした批判的思考力を育成するための比べ読みに関する論文を執筆中である。この論文は今年度(2022年)の9月に発表予定である。 また、別の文学教材の比べ読みについても検証を行っている最中である。検証を経た後、その成果を論文として発表する。この論文については、今年度中の発表を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究の課題である批判的思考力を育成するための比べ読みを活用した指導法については、その成果を論文として発表している点においては、遅れはないと思われる。 しかしながら、コロナ禍であるために、海外で行われている批判的思考力を育成する授業の視察に行くことができない状況にある。批判的思考力を育成するの研究及び実践が進んでいるアメリカに視察に行けないことが本研究において大きな遅れである。 この理由のために、海外視察の成果を取り入れて考察した批判的思考力の研究の進捗状況は遅れていると言わざるを得ない。 コロナ禍の状況を鑑みると、今年度中の海外視察も難しいと考えられる。このままだとさらに本研究の課題の進捗状況が遅れるだろうと推測される。
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Strategy for Future Research Activity |
所属している学会から論文の執筆依頼をいただいており、その学会の学術誌に本研究の成果となる、批判的思考力の育成するのに比べ読みが有効であることを検証した論文を発表する。 また、現在、別の文学教材による比べ読みを活用した批判的思考力の育成について検証を行っているところである。検証の結果が明らかになり、その成果を認めることができたら、論文として発表する。 海外視察については、コロナ禍の状況を鑑み、今年度中に海外視察ができなければ、来年海外視察に行き、その研究成果を全国規模の学会で発表したいと考えている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響を受けて、海外視察をするための旅費についての使用額が大きく異なっている。コロナ禍の状況では海外視察をすることは非常に困難である。 コロナウイルスの感染状況が改善し、海外視察が可能になれば、旅費として請求した助成金の使用額の差異が解消されると考えられる。
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