2021 Fiscal Year Annual Research Report
メンタルヘルスリテラシーに関する教員教育方法の確立
Project/Area Number |
20K13978
|
Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
盛本 翼 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (90613795)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | メンタルヘルス・リテラシー / 精神疾患 / 学校教育 / 無作為ランダム化比較対照試験 / スティグマ |
Outline of Annual Research Achievements |
思春期の児童・生徒を対象とした精神的不調とその対処方法に関する教育(すなわちメンタルヘルス・リテラシー教育:以下MHL教育)は、精神疾患に対する知識を向上させることで、無知・偏見・差別(これらを合わせてスティグマという)を軽減させ、精神疾患の早期発見・支援を促進させるといわれている。海外では既に学校でMHL教育が実施されているが、本邦では現時点で、文部科学省指定のカリキュラムには含まれておらず、精神保健医療の専門職でない教員がMHL教育プログラムを実施するには課題もある。教員へのMHL教育によって生徒が抱く援助希求へのネガティブな態度を緩和させることが報告されていることから分かるように、学校教員がMHL教育を受けることは、児童・生徒に対して正の影響(例えば、精神疾患の早期発見・支援など)を及ぼす可能性があり、生徒へのMHL教育の開始に先立って確立されるべきものと考えられた。 そこで本研究では、学校教員を対象にDVD教材を用いたMHL教育を実施し、精神疾患に関する知識やスティグマ、精神症状をもつ生徒を支援する意欲に変化が生じるかを検討した。参加者を50分間のメンタルヘルスに関する動画を視聴する介入群(n=49)と、その間、待機する対照群(n=43)とに無作為に割りつけた。結果、介入群では対照群と比較して、精神疾患に関する知識と、うつ病の生徒を支援する意欲が有意に向上した。一方で、精神疾患に対するスティグマは、有意に低減しなかった。 短時間の映像教材によるMHL教育が、学校教員の精神疾患に関する知識のみならず、精神的不調を来す生徒を援助する意欲を向上させた。このことは、学校における生徒へのMHL教育に先立って、教員に行うことの有用性を示唆している。一方で、精神疾患に対するスティグマは低減しなかったため、新たな介入方法を模索する必要があると考えられる。
|
Research Products
(1 results)