2021 Fiscal Year Research-status Report
理科における批判的思考の発達過程の解明とその育成に関する研究
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20K13979
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Research Institution | Fukuyama City University |
Principal Investigator |
山中 真悟 福山市立大学, 教育学部, 講師 (10845465)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 批判的思考 / 理科 / 発達過程 / 初等教育 / 中等教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,第一に小学校理科および中学校・高等学校理科において批判的思考の3側面規定に基づく批判的思考態度尺度を開発するとともに,その妥当性と信頼性を検証することを目的とした。第二に開発した尺度を用いて批判的思考の発達過程を明らかにし,その知見に基づいた学習指導法の考案や教材の開発を行うことを目的とした。 上記の目的を達成するため,二年目では,小学校理科における批判的思考力育成のための指導法を考案し,その効果検証を行った。具体的には,第6学年の「電気の利用」の単元において,プログラミングを活用した製作活動を取り入れた授業実践を行った。児童は「生活に役立つプログラムを考えてみんなにプレゼンしよう」というめあてのもと,各種センサーやプログラミングを用いて豆電球やモーターを制御する活動を行った。また,「プログラミングで自動ブレーキはできるのか?」というめあてのもと,試行錯誤を伴う製作活動を行った。 考案した指導法の効果を検証するため,一年目の研究にて開発した「批判的思考発達検討質問紙」を用いて,授業実践の前後での批判的思考態度を測定し,統計的手法によりその変容を調査した。その結果,考案した指導法によって,理科における批判的思考態度のうち「よりよい解を追究しようとする態度」に向上が見られたことが明らかとなった。 また,一年目の研究で得られた成果について論文にまとめ,学術学会誌への投稿を行った結果,掲載可の判定を得ることができた。現在校正・印刷作業中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は次の通り3か年計画としていた。 1年目:先行研究を基に,小学校および中学校・高等学校における批判的思考の発達検討尺度を開発し,その妥当性と信頼性を検討する。また,質問紙調査の結果をもとに,理科における批判的思考の発達過程を明らかにする。 2~3年目:明らかとなった批判的思考の発達過程を踏まえ,各学校段階において重点的な目標を定め,先行研究等も参考にしながら,学習指導法の考案や教材の開発を行い,授業実践を通してその効果を検証する。 上述の計画に基づき,2年目では,先行研究を基に批判的思考力を育成するための指導法を考案するとともに,1年目に開発した理科における批判的思考の発達検討質問紙を使用し,小学校での授業実践を通した効果検証を実施することができた。また,その結果より,理科における批判的思考の発達への示唆を得ることができた。 なお,1年目の研究において得られた成果は学術学会誌に投稿し,査読を経て掲載可の判定を得ることができた。 このことから研究は概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目の調査結果から明らかになった成果を基に,中等教育段階における批判的思考力育成のための指導法を考案し,授業実践を通してその効果を検討する予定である。また,研究成果を学会で発表するとともに,学会誌への論文投稿を計画している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響で予定していた学会等への参加が行えなかった結果,残額が生じた。生じた次年度使用額は翌年度の助成金と合わせて,授業実践のための物品購入に使用するとともに,情報収集や成果発表のための旅費に充当する計画である。
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Research Products
(1 results)