2023 Fiscal Year Research-status Report
健康科学の視点からみる小規模特認校が有する教育的意義の発信
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20K13982
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
塚本 未来 東海大学, 国際文化学部, 准教授 (70548734)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 小規模特認校 / 習慣化された体力づくり / 生活リズム / 身体活動量 / 自律神経指標 / 教育課程 / QOL向上 / 少人数教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、健康に関連する基礎研究が進み、規則正しい生活習慣の重要性が科学的に明らかになってきた。その一方で、子どもの身体活動の不足、夜型化、デジタル機器の使いすぎなどで生活習慣が乱れ、健康への影響が懸念されている。このような背景から、自然環境に恵まれた小学校で、心身の健康増進を図り、体力づくりを実践している児童の健康状態について調査を行った。 令和5年度は、新型コロナウイルス感染症の流行で測定の制限受け調査の実施が困難であった対象校3校のうち1校において、本調査を進めることができた(対象校3校のうち1校は、令和4年度に実施している)。本研究における全ての調査(生活習慣調査、身体活動量、自律神経系活動、起床時体温等)が実施でき、得られた調査結果をもとに、フィードバックとして学校教育現場における健康教育を展開することができた。 主に得られた結果として、小規模特認校に在籍する児童の生活リズム(就寝、起床、朝ごはん、昼ごはん、夜ごはん)は平日と休日の過ごし方に大きな違いがないということが特徴である。平日も休日も就寝・起床時刻が習慣化され、日中の十分な身体活動と勉強時間の確保で生活リズムが整っていることがわかった。また、通学手段にバス・地下鉄を利用している児童が多い中で、1日の活動歩数が平均10,000歩上回り、中強度以上の身体活動を1日60分以上実施していることがわかった。さらには、自律神経指標は、交感神経・副交感神経ともに良好で、規則正しい生活リズムは神経系のオン・オフの切り替えに有効であることが期待できる.しかしながら、社会的時差ぼけが生じた翌日は、自律神経指標に負の影響がある可能性がみられた。 令和6年度は、研究初年度からの予備調査の実態も含め、本研究の全体をまとめ、学会発表や論文の執筆などを予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究初年度からの新型コロナウイルス感染症の流行で、小学校への訪問が制限されたことや、小規模特認校における独自の取組や行事を中止、または活動内容を制限せざるを得ない期間(約2年間)が続き、研究調査の実施が困難であったため、研究期間を再延長した。令和5年度は、コロナの制限受け調査の実施が困難であった対象校3校のうち2校において、本調査を進めることができた。次年度に向けて、本調査でのデータ収集ができたことから、分析、報告を進める予定である。研究計画としては、5-6か月の遅れとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、本研究における全ての調査(生活習慣調査、身体活動量、自律神経系活動、起床時体温等)を総合して考察、まとめを行う。また、本調査の追加調査を検討する。得られた結果をもとに、小規模特認校における特色ある教育カリキュラムの実態を把握し、日常的に実践している体力づくりや自然環境を利用した取組や行事と健康状態について事例的に分析することで、当初の研究目的の達成を目指している。子どものより良い健康(元気な)状態を提示する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の流行で、調査対象校への訪問が困難な時期が続き、調査に遅延が生じていたため、研究期間を2年延長している。調査の延期に伴い、物品費、旅費の支出がなくなったため、次年度の使用額が生じた。このため、学会参加等、データおよび情報・資料収集の経費として、次年度に支出する予定である。
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