2020 Fiscal Year Research-status Report
学習者の自己内対話を促す文学的文章の読みの学習指導に関する実証的研究
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20K13997
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
武田 裕司 富山大学, 学術研究部教育学系, 講師 (70821544)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 国語科教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、文学的文章の学習指導において、学習者内の自己内対話を活性化する手立てを実証的に明らかにするものである。文学的文章の読みの学習指導においては、教師の意図によって学習者内の自己内対話が抑圧される事例が報告されている。 そこで、教室における学習者の自己内対話の諸相をHermans & Kempenの提唱する「対話的自己」論を援用して明らかにするとともに、学習者の自己内対話を活性化するための国語科学習指導のあり方について探る。また、学習指導のあり方について、教材研究・学習指導と学習者の反応分析の両面から追究することによって、年間を通した学習指導カリキュラムの構想を目的とする。 2020年度研究成果として、文学的文章を対象とした「読解指導の成果と課題の把握」があげられる。現在の国語科教育において「主体的、対話的で深い学び」がどのように捉えられているのかについて、関連文献を収集し、整理分析している。 その成果として、単著論文「金原省吾の解釈理論における「座」概念の考察」を公開した。本稿では戦前から読者の主体性について言及していた金原省吾に焦点をあて、その当時読者の主体性がいか様に捉えられ、受容されたかについて考察した。このことは、国語科教育における読むこと指導に大きな影響を与えた垣内松三とも深く関わっており、戦前から戦後初期にかけて解釈理論に基づいた学習指導が興隆した原因の一端を明らかにした点でその重要性を指摘できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の2020年度計画では、上記した「これまでの国語科教育における理論と実践の成果と課題把握」に加えて、国内学会における実践発表や研究協力校での実践を分析対象とすることを掲げていた。 しかし、現在の新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、研究協力校でのフィールドワークや国内での文献収集が実施できない状況にある。また学会も規模の縮小や中止に伴い、学会発表が予定通り行えていない。これらの理由から、進捗状況は当初の予定から遅れていると言わざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、感染の拡大状況や文科省等の指針を注視しながら、研究協力校でのフィールドワークや国内での文献収集、学会発表を開始したい。 当初2021年に開始予定だった研究内容を繰り下げ、2020年度実施予定であった研究協力校でのフィールドワークや国内での文献収集、学会発表をを行うこととする。
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Causes of Carryover |
感染症拡大の状況を踏まえて、国内への出張及び研究協力校へのフィールドワークを行うことができなかった。また、文献の収集も困難を極めたため、当初予定していた予算の執行を行うことができなかった。 初年度経費として当初申請していた、PC及びその周辺機器や研究関連書籍、旅費を2021年度使用計画に記した費用に加えて使用する。 そのため、詳細としては設備備品費(PC・周辺機器)、消耗品費、旅費、人件費等を2021年度経費使用計画として申請する。
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