2023 Fiscal Year Research-status Report
数学教授言語の今日的課題-複数言語を用いた数学科カリキュラムの検討-
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20K14005
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
杉野本 勇気 香川大学, 教育学部, 准教授 (40637477)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 無限概念 |
Outline of Annual Research Achievements |
教材の具体的な開発に向けて、視覚イメージに関する認知的な課題を明確化するとともに、子どもがどのようなイメージを持つのかについて、実践的な検証によって、課題を明確にした。 小学生と大学生を対象として、無限に関する概念についての教授実験と記述式のアンケートを実施し、分析を行った。小学校に対しては、ある三角形の点対称な図形がいくつ存在するのかに疑問を持ち議論へと展開する教授実験を行った。点対称の中心の位置が三角形の一辺の線分上、3辺の線分上、内部、外部と拡張して考えていく中で、有限個であるのか、無限にあるのか、無限同士を比較するような発想や、その際にどのような表現を行うのか、などの観点から分析を行った。子どもは無限については正しい意味ではなくとも、知っている知識で表現しようとする姿を確認することができた。言語に依存しない数学学習指導の具体化に向けては、操作的証明や図的表現の可能性とともに、正確な言葉の意味理解がなくとも、情報の伝達や交換を実現する可能性について、示唆を得た。初等教育段階における形式化された言語による論証を伴わない説明としての機能や、初等教育段階から中等教育段階への橋渡しは、柔軟な言語使用によって可能となるとともに、無限特有のパラドックスのような、確実な認識を妨げる要因にもつながることが検討された。大学生を対象とした調査においても、同様の困難さが確認され、教員養成や教師教育的な課題についても示唆を得た。 その成果は、日本数学教育学会の秋季研究大会、および全国数学教育学会の研究発表会において提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
最終成果を検討するための研究集会が調整できず、次年度へと変更になった。
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Strategy for Future Research Activity |
実践的な成果は得られたので、理論的な分析について、協力者とともに進めていく。
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Causes of Carryover |
研究成果をまとめる研究集会の開催と、その成果を発表するための学会参加に関わる旅費と参加費
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