2020 Fiscal Year Research-status Report
Practices of Doing Philosophy at school in Japan
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20K14006
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
福井 駿 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 講師 (40758687)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 哲学教育 / 哲学する教育 / フィールド調査 / 学校カリキュラム / Philosophy for Children / P4C |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本各地で実際に「哲学する教育」を実践している学校のフィールド調査を通して、「哲学する教育」が多様な文脈を持つ学校カリキュラムにそれぞれどのように組み込まれているのかを明らかにすることを目的とする。 2020年度に実施した主なことは次の2つである。①「哲学する教育」と学校カリキュラムについての関連文献の収集、整理。特に「哲学する教育」として最も広く認知されているPhilosophy for Childrenアプローチに関連して、それが一定の発展を見せていく中で既存の学校文化や哲学の学問文化とどのような関係性が存在したのかについて検討できそうな文献の収集、整理を進めた。②ある公立高校の倫理担当教員の実践する「哲学する教育」に関するオンラインインタビュー・授業分析の実施。当該教員は、数年前から自身の授業実践にPhilosophy for Childrenアプローチを導入しており、その導入背景や導入の実際・影響を中心に調査した。 成果として、以下のような点がある。本年度に調査を行った学校での「哲学する教育」は、教科の意義と学びのモチベーションへの問題意識を背景にしていたことが分かった。そして、継続的な試みの中で、単元構成への位置づけの吟味を介して教科の中における「哲学する教育」が変質していたことが分かった。また、この本年度に行った調査を他の事例の調査を進めていく方法論上のモデルケースとして考えることができる点を成果として挙げることができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の流行により、予定していたいくつかの学校への現地訪問が難しくなったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、以下の2点から研究を進めていく。①共同的な(授業)実践分析方法の検討。本年度に行った調査の中で、実践について実践者本人と研究者の解釈の違いがいくつか見られた。これを上手く生かしてより深層的な意味を解釈していくために、実践を共同で分析していくための方法についての再検討をしていく。②別の学校での実践に関する授業観察や関係者へのインタビューの実施。いくつかのケースの比較検討に入っていけるように、次の事例に関する調査に取り掛かりたい。そのために新型コロナウイルス感染症の流行状況を考慮しつつ、調査可能なフィールドを改めて検討することから始める予定である。 今後、どの調査対象学校についても現地訪問が難しい状況が続く可能性もある。その場合、オンライン・インタビュー、ビデオデータの収集などによって、必要なデータを補完していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の流行により予定していた学校訪問を中止した。そのため、旅費の使用が無くなり、次年度使用額が生じた。使用計画としては、次年度に行えるよう再調整中の学校訪問のための旅費、あるいは学校訪問が困難な場合に備えてオンラインでのデータ収集を可能にするための物品費として使用する予定である。
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