2020 Fiscal Year Research-status Report
いじめ防止対策推進法の組織を活用した学校の生徒指導システムへの包括的支援の検討
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20K14007
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
吉村 隆之 鹿児島大学, 法文教育学域臨床心理学系, 准教授 (50827144)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | いじめ防止対策推進法 / 重大事態調査 / 心理職 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究と関連の深い「いじめ防止対策推進法」(以下,法)に関して,「いじめ防止対策推進法における重大事態調査に係る心理職のためのガイドライン」を発刊,および一般社団法人日本心理臨床学会のホームページにおいて公開することができた。 本ガイドラインは,文部科学省が出している①重大事態調査のガイドライン,②子供の自殺が起きたときの背景調査の指針(改訂版),③国のいじめ防止基本方針等をもちいて,一般社団法人日本心理臨床学会支援活動委員会自殺対策専門部会と協力して作成したものである。 これまで法にもとづく重大事態調査では,ほとんどの調査委員会に心理職が委員の一人として参加してはいるものの,調査は心理職がこれまで本務としてきた心理社会的な支援とは異なる側面があり,委員となった各心理職は実務の中で迷いながら試行錯誤を繰り返している現状があり,またこうした経験が知見として蓄積されていなかった。 そのため,学会の自殺対策専門部会の代表者でもある,本研究代表者が関係者とともにWeb調査やインタビュー調査を行い,その知見を従来の知見の土台に組み入れる形で,本ガイドラインの作成に携わった。 重大事態調査において心理職も,①いじめの事実認定,②いじめ事実が重大事態に及ぼした影響,③学校の対応の検証,④同様の事案の再発予防という目的への貢献が求められるが,本ガイドラインはこうした貢献を今後支えていくことが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度より所属機関に設置される予定であった研究倫理委員会が,COVID-19禍等の影響により設置が遅れており,研究倫理審査を得ることが必要な調査を行うことができていない。 また,倫理委員会の承認を得たとしても,県外での面接調査や現地調査については,移動が困難であったため実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,所属機関において研究倫理審査を受けることが可能な環境が整う予定である。研究倫理審査会における承認を得て,各学校におけるオンラインでの質問紙調査の実施,および協力校における面接調査を進めていきたい。 また,研究倫理審査を受けることができるまでは,研究倫理審査を必要としない自死事案の報告書をもちいた質的分析や文献レビューを進めていく。具体的には,(1)いじめ防止対策推進法における重大事態につながるいじめはなぜ,どのように生じるのか,(2)学校はなぜそれを止めることができなかったのか,これら2つのリサーチクエスチョンにもとづいてプロセスモデルを構築する予定である。
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Causes of Carryover |
所属機関に研究倫理審査委員会が予定より遅れて設置がされず,またCOVID-19禍において現地調査や情報収集のための学会参加もすべてオンライン開催となったため,旅費など関連経費の次年度使用額が発生した。 今後は,研究倫理審査を必要としない自死事案の報告書を研究対象とした質的分析や文献レビューを行う予定であるが,そのために必要となる質的分析ソフトのコラボレーション機能の購入,データ整理や入力のための人件費に使用する予定である。またCOVID-19の感染が沈静化すれば,現地に赴いての面接調査等も実施したい。
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Research Products
(2 results)