2021 Fiscal Year Research-status Report
いじめ防止対策推進法の組織を活用した学校の生徒指導システムへの包括的支援の検討
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20K14007
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
吉村 隆之 鹿児島大学, 法文教育学域臨床心理学系, 准教授 (50827144)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | いじめ防止対策推進法 / 重大事態調査 / 調査報告書 / 学級や学校の荒れ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、①いじめ防止対策推進法における重大事態(以下、いじめ重大事態)が発生するプロセスを明らかにするためのいじめ重大事態報告書の分析、②いじめ重大事態に学級や学校の荒れが及ぼす影響に関する検討を重点的に行った。 まず、いじめ重大事態について公開されている報告書をインターネットや新聞社のデータベースから検索、収集し、その中でいじめ事実が重大事態へ影響していることを認定している報告書、およびそのプロセスが詳細に記されている報告書を対象として質的分析を行って、プロセスを抽出した。その結果、被害生徒や地域コミュニティの特徴や経緯、および学校における教育困難な状況が、いじめの発見や対応を困難にしており、そうした発見の遅れや不適切・不十分な対応へとつながっていた。またこうした経過の中でも、被害生徒を被害を表現したり、周囲の大人もサポートを行い、一部荒れが沈静化するなどの変化は認められた。しかし、こうした被害生徒や周囲の努力を上回る形で、いじめを把握する困難と不適切な対応とが悪循環を形成し、その結果として被害生徒の支えが減少して孤立することで、最終的にはいじめ重大事態(今回の研究では「自死」)が引き起こされてしまうというプロセスを生成した。 次に、教育困難な状況がいじめの把握や適切な対応を阻害しているという①の結果を踏まえて、学級が学校の荒れがいじめ重大事態へ与える影響について分析した。その結果、①の結果に加えて、荒れによる人的資源の消耗が、校内連携の困難や学年や学校間の引継ぎ不足を招き、そのためにいじめ把握がより困難になるというプロセスが明らかとなった。 以上の本年度の研究実績は、学校における児童生徒支援を支える学級経営やその風土、および学校経営やその風土が、いじめ重大事態へと与える影響とプロセスを理解する上で参考になる成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19禍の影響により県外への移動が困難となり、昨年度から今年度にかけて行う予定であった海外や県外での実地調査が行うことができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もCOVID-19禍の影響は免れないため、昨年度から研究の一部を既存の報告書などの資料をもとにした研究へと一部方針を変更している。しかし、それだけでは本研究課題の目的は達成できないため、本年度は地域から申し出のあった教育委員会と共同研究に関する契約を締結した。今後は、この共同研究の中で各学校の生徒指導に関する実態の把握方法や適切な測定について検討を進める予定である。また同時に、学校だけでなく当事者である児童生徒や保護者を対象に、学校の生徒指導に関する機能の程度を測定する調査も実施を検討している。
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Causes of Carryover |
今年度はアルバイトの雇用や物品の購入、および調査も計画段階にあったため発注、実施ができなかった。よって、今年度の未使用額については次年度に繰り越して使用する予定である。 使用計画としては、調査を進めるためのアルバイトの雇用(人件費)、調査に係る物品の購入、および調査会社を通したオンライン調査の実施を予定している。
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Research Products
(4 results)