2020 Fiscal Year Research-status Report
養護教諭の高い専門性と実践力を育成する養護学の構築と養護実践の体系化に関する研究
Project/Area Number |
20K14017
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Research Institution | Osaka University of Human Sciences |
Principal Investigator |
横島 三和子 大阪人間科学大学, 人間科学部, 准教授 (20584717)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 養護教諭養成 / 養護学 / 養護実践の体系化 / 科目内容構成 / カリキュラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、養護教諭が目的を持って意図的に行う教育活動である「養護実践」に着目し、複雑で構造が見えにくい養護実践の可視化とその構造のあり様を明らかにすることを目的としている。また、教育職員としての養護教諭の専門性と実践力を育成する「養護学」構築のための方法論の提案を目指し、2020年度より3年計画で研究に取り組んでいる。 研究初年度は、養護実践の実地調査と可視化支援システムの開発・試験的実装を行うことを計画していた。しかし、新型コロナウイルスの影響により、研究協力者の勤務校で実地調査を行うことが困難な状況となった。そこで、養護実践の可視化支援システムの構築準備を中心に実行した。具体的な成果としては、以下のとおりである。 養護実践を記録するためのプラットフォームを検討し、インタフェースを試作した。実地調査を行う際、研究協力者の負担にならないようにシンプルで扱いやすいものにする必要がある。そこで、まずは利用のしやすさと初期データ取得に主眼をおいたシステムを開発し、その動作確認と改良を行った。本研究で実装するシステムは、養護教諭の日々の実践を記録しプロセスの可視化を支援するものであるため、インタフェースデザインに十分な検討を要すること、また、フレームワークの更新が容易に実現できることもシステム設計上重要になる。このことをふまえて、次年度はFileMakerでの開発・実装につなげたい。FileMakerは、データ間の関連性および情報管理の面で有効なツールである。収集したデータの構造化は本研究の主要部分になるため、養護教諭の実践記録を補助するだけでなく、分析の視点を持ちながらシステムの改良を試みる。研究協力者には、実地調査の依頼と同意・承諾を得ることに尽力しているところである。引き続き、研究協力者との協働体制を整え、データ上では浮上しづらい教育活動の意図や養護実践を支える学問的・専門的内容の把握に努めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大により、学校の状況を鑑み、実地調査を実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、状況を鑑みながら実地調査を行い、養護実践のデータ分析と構造の体系化を行う。実地調査では、構築した養護実践の可視化支援システムを活用する。必要に応じてインタフェース等の改良を重ねることも行っていきたい。情報漏洩が起こっていないかは常時点検する。システムにより蓄積されたデータを分析し、養護実践の構造のあり様を探る。この時、教育職員としての養護教諭の専門性という視点から捉え直すことを試みる。 2022年度は、養護教諭の専門性を支える学問的・専門的内容とすり合わせることで養護実践の構造を明らかにし、「養護学」の構築にむけた方法論の提案をめざす。
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Causes of Carryover |
コロナ禍において現地に出向いて打ち合わせや予備調査が行えず、旅費の支出が発生しなかったこと。また、学会での研究成果の発表が叶わなかった。さらに、予定していたFileMakerでのシステム構築を次年度に繰越し、使い慣れているアプリケーションを試行段階として活用してデータベースの構築を図ったため、物品費が予定額に至らなかった。
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