2023 Fiscal Year Annual Research Report
高等教育機関におけるPBS・RTIモデルに基づく多層支援・指導モデルの実践的研究
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20K14034
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Research Institution | Ryutsu Keizai University |
Principal Investigator |
真名瀬 陽平 流通経済大学, 学部以外の部局, 教育学習支援センター所員 (00846496)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高等教育機関 / 多層支援・指導 / 高等教育 / 合理的配慮 / PBS / RTI |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高等教育機関が実行している支援・指導をSWPBS・RTIといった多層支援・指導モデルの観点から調査・分析を行い、現在の課題を明らかにする。また、高等教育機関において、多層支援・指導の有効性について実践的な検討を行い、支援・指導の有効性や社会的妥当性を明らかにする。 2023年度は、調査・分析を中心に行った。 高等教育機関が実施している支援・指導の調査として、現在の高等教育機関における障害のある学生への授業に関する合理的配慮の状況を把握することを目的とし、大学案内2024障害者版(全国障害学生支援センター,2023)を用いて国公立大学の授業全体の配慮方針・一般講義における配慮・定期試験における配慮に関する各大学の回答を分析した。その結果、障害のある学生が在籍していると回答した大学のすべてにおいて配慮を提供していると回答がされ、国立大学では録音機器や補聴器の利用、座席位置を配慮すると回答した大学が80%を超えていた。一方で、講義ノートをコピーして渡す、欠席回数を考慮するとした大学は30%であった。こうした結果から、学生自身が準備をする・教員の負担が少ない配慮は実施されやすい一方で、教員の負担が比較的多く、授業の本質の検討が必要な配慮は実施されにくい傾向にあるといえた。これらは第1層支援としても有効な手立てともいえることから、教員が実施しやすい配慮方法を検討し、支援を実行していくことが望ましいと考えられた。 研究期間全体を通し、高等教育機関の授業に対して、SWPBS・RTIといった多層支援・指導モデルの観点から現状と課題を見出すことができた。また、高等教育機関の講義における多層支援・指導を実践し、一定の効果を示すことができた。今後、学生の様々な行動に対する多層支援・指導の実践や全学的な取り組みの検討が求められていく。
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