2020 Fiscal Year Research-status Report
地域連携協働による実践的防犯教育プログラムの開発と検証
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20K14040
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Research Institution | Tokoha University |
Principal Investigator |
木村 佐枝子 常葉大学, 健康プロデュース学部, 教授 (80410497)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 地域防犯の若い担い手 / 地域との連携・協働 / 産学官連携 / 防犯・交通安全アプリ / ランニングパトロール / 正課教育プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウィルス感染拡大により、関東・関西圏での現地調査を断念し、香川大学大久保准教授らが開発した防犯・交通安全アプリとその授業内での活用について2回の研究会・意見交換会をオンラインで開催した。教育学部の正課教育プログラムは、香川県警との連携による授業が展開されており、カリキュラム化に向けてモデル化できるものであった。 また、ゼミナール活動において、香川大学開発のアプリを活用したランニングパトロールの実証実験を行い、防犯意識尺度、交通安全意識尺度(大久保ら,2020)等を使って予備調査を行った。その結果、活動前と活動後において、交通安全意識、防犯能力、防犯意識のいずれの項目も平均値が上昇し、意識の変化が見られた。自由記述における交通安全の意識の変化では、「自動車を運転する際、危険だと思われる場所では速度を落とすことや周りをみることなど、より安全運転に心がけるようになった」、アプリを活用した防犯意識の変化では、「危険箇所の写真を取り共有することにより、全員が共通意識を持つことが出来た」、「アプリを使うことで危険箇所の把握を的確に行うことができた。ランニングパトロールを行うよりも危険箇所が記憶に残りやすい」などの記述があった。また、活動の課題においては、「同じグループ内で行く場所のコミュニケーションが必要であると思った」等、建設的な記述がみられた。ゼミ生のみで実施したため、参加人数が限られたが、正課教育プログラムの基礎資料となる予備調査となり、次年度の運用に向けた基礎資料となった。この実証実験にあたっては、浜松市デジタルスマート推進本部のコーディネートにより、NTTドコモ東海からタブレット端末の支援を受け、報告会を開催した。また、活動の方法については、静岡県警からアドバイスを受けた。これらの成果は、産学官連携の事例として、地元新聞に掲載された(静岡新聞/3月2日朝刊)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今期は予定していた地域での現地調査はできなかったが、オンライン活用して防犯教育プログラムの先進的な活動を行っている大学での調査を行うことができた。また、研究協力者とも定期的に意見交換を行っており、適切なアドバイスをもらう機会を得ている。 さらに、実施協力校、教育委員会、警察署等の連携機関とは定期的な情報交換を行っており、協力校での活動実施に向けた調整が順調に行われている。実施協力校での実践活動を行う際には教育委員会との覚書を交わし研究を遂行することが確認された。 新カリキュラムの運用は、2021年度よりも先になったが、2021年度後期の正課教育プログラム実施に向けたシラバス作成、関係機関との調整も順調に進み、実施に向けた準備ができた。2021年度は新カリキュラムに向けた試行期間とし、学生への授業評価や質問紙調査により成果を確認し、新カリキュラムに向けた調整を行う予定である。教材開発については、2020年度に必要な資料収集、関係機関の意見交換が進み、2021年には教材作成を完了させ、予備調査を行う準備を進めている。コロナ禍ではあるが、現時点で実現可能な活動を優先し、関係機関との調整を行いなから研究を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、2020年に実施した予備調査の結果をもとに、学会発表、論文執筆、関係学会への論文投稿を行うよう準備をすすめている。 さらに、2021年度は正課教育プログラムの1年目となり、2科目の運用(健康プロデュース学部/安全教育、保育内容(健康/安全))とゼミナール活動となるが、受講学生を中心にアンケート調査、インタビュー調査、授業評価等を活用して調査を行い、2022年度の正課教育プログラムに反映させることができるよう研究をすすめていく。また、教職課程における安全教育分野の新カリキュラムに向けて学内のワーキンググループで検討する計画もあるため、本研究の成果を反映できる情報を提供する方向ですすめている。 本県での感染状況や大学の行動指針によってオンライン授業に切り替わる可能性もあるが、現行ではほぼ対面での授業ができており、感染防止に最大限配慮を行い、授業内でのフィールドワークが実施できるよう準備している。万一、オンライン授業に切り替わった場合も、フィールドワークに代わる内容に一部変更し、シラバス内容を遂行できるよう準備をすすめていく。 また、実施協力校、教育委員会、警察署等の関係機関、研究協力者とは今後も定期的な意見交換、報告を行い、順調に研究が遂行できるよう連携・協働しながら、すすめていく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大の影響により、今期の調査は基本的にオンラインで実施したため、当初予定していた旅費を使用していない。また、学生を対象とし調査は、当地域で完結でき、調査人数もゼミナール学生の範囲であったため、調査資料の整理等の人件費も使用しなかった。 感染の状況を確認しながら、遠隔地においてはできる限りオンラインを活用して調査をすすめつつ、当地域でできる研究は研究計画に基づき、研究を遂行していく予定である。
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