2023 Fiscal Year Research-status Report
ASD児における自他理解の枠組みを用いた社会的相互作用の解明
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20K14044
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
鈴木 徹 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (10735278)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 自己理解 / 他者理解 / 問題解決 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、新型コロナウイルスの影響により延期を余儀なくされていた特別支援学校での課題調査を実施した。その後、過年度に実施した同様の調査データと合わせて分析を行った。 対象は、特別支援学校中学部もしくは高等部の生徒27名であった。課題は、自己理解と他者理解、問題解決に関する3題を実施した。得られたデータをASD群 (16名) と知的障害群 (11名) の2群に分けて分析を行った。その結果、他者理解課題の通過率は両群に違いはなかったが、自己理解課題では知的障害群に比べてASD群の方が通過率は低かった (ただし、統計学的な有位差は認められなかった)。加えて、自己理解課題と他者理解課題の通過状況から両群をそれぞれ4つのグループに分け、問題解決課題の回答傾向の違いを検討した。その結果、どのグループにおいても、問題の種類 (かかわる他者が誰か) や問題の状況(解決手段を見つけやすいか) によって回答の傾向が変わることが確認され、両群で各グループともに回答傾向が同じであったことも確認された。これらのことから、自己理解と他者理解の程度は、問題解決場面の回答に影響をしないことが示唆された。ただし、問題解決課題において想定されている場面が対象生徒にとって常日頃体験している状況とは言い難く、今後は、担任教員に対する問題解決場面における対象生徒の様子に関する聞き取り調査や対象生徒の学校での様子の参観を行い、群間やグループごとの質的な違いについて検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた課題調査を実施することができた。最終年度は、教員を対象とした聞き取り調査や対象生徒の観察を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
問題解決場面における自閉スペクトラム症のある生徒と知的障害のある生徒の解決方略の質的な違いを教師への聞き取りや実際の観察を通して検討する。
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Causes of Carryover |
予定していた出張を急遽取りやめたことがあった。次年度は予定通り予算を執行する。
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