2020 Fiscal Year Research-status Report
感覚処理特性に応じた合理的配慮実現に向けた環境調整および自己調整方法の開発
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20K14053
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Research Institution | Miyagi Gakuin Women's University |
Principal Investigator |
蒔苗 詩歌 宮城学院女子大学, その他部局, 特別支援コーディネーター (70848241)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 感覚処理特性 / 感覚過敏 / 合理的配慮 / 環境調整 / 自己調整 |
Outline of Annual Research Achievements |
明るさのちらつきや音量などへの過敏性に対する合理的配慮には環境調整が有用だとされている。しかしながら,感覚特性と困り感の程度は多様なために,学級などの集団で統一した調整は難しく,教員側の負担となってしまうこともある。そこで,合理的配慮としての環境調整を求めるだけでなく,自分自身で過敏性などの感覚処理特性と付き合っていくための自己調整方法を検討していく。 1年目の2020年度では,研究計画段階に行った予備調査データの再分析および論文執筆に取り組んだ。論文は投稿段階まで進んでおり、本研究における土台として位置づける事ができた。予備調査の結果をもとに,本調査で聞き取る項目内容や,特性把握のための質問紙等について整理することができた。しかしながら,新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い,対面での聞き取り調査は実施できなかった。加えて,感染予防に伴う生活様式の変化と,その長期化によって,整理した項目内容の見直しも必要になっている。感染症予防の生活も踏まえた新たな調査計画・方法を再設定する必要がある。 また、調査や実験に制限が生じたことから.先に大学における合理的配慮に関わる論文・調査報告等の文献的検討.システマティックレビューに着手することができた。学校種別(小学校・中学校・高等学校・大学など)における合理的配慮を,環境調整と自己調整の視点から整理している。2021年においても引き続き進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症拡大に伴い,研究協力者との対面での聞き取り調査や認知実験を行うことが困難であった。このため,1年目に予定していた研究内容を一部遂行することができなかったため,計画は遅れていると判断する。今後は方法および遂行計画を再検討してたうえで進めていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度も引き続き,新型コロナウイルス感染予防による制限された生活が続くことが予想される。そのため,研究申請段階で想定していた対面での調査や実験の実施には,制限が生じる可能性が高い。参加者の負担を少なく,感染症予防を徹底した状態で実施できるような方法を早急に検討し,調査と実験を開始していく。 聞き取り調査では,遠隔実施できる方法を検討していく。オンライン会議ツールなどの活用を検討しているが,参加者への事前相談においてはオンライン特有の感覚の困り感も挙げられている。郵送による記述回答とオンラインによる聞き取りと複数の方法を組み合わせて実施したい。実験的検討では,複数の触材を触っている最中に認知課題を取り組んでもらう。同時に視線や発汗反応などの生理反応を取得するため人に触れる機材を要したりする実験シールドは密になってしまうことからも,できるだけ感染拡大が落ち着いたタイミングで,換気や消毒を徹底して実施していきたい。また,長期間にわたる生活様式の変化から,新型コロナウイルス感染症予防に由来する困り感と,これまでの生活内であった困り感について分けて検討できるようにしていきたい。
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Causes of Carryover |
2020年度は,新型コロナウイルス感染症拡大により,対面での調査と実験を実施することができなかった。そのため,調査のための旅費・施設費,実験実施に伴う機材の購入,参加者の謝礼等を翌年度へ繰り越すこととした。2021年度は,2020年度に計画していた調査と実験も加えて実施していく。
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