2022 Fiscal Year Research-status Report
Identification of Japanese language acquisition process and extraction of latent skill structure in children with hearing impairments
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20K14054
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
外山 稔 東京工科大学, 医療保健学部, 准教授 (30746095)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 症候群性難聴 / 新生児聴覚スクリーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、先天性聴覚障害児が言語を習得するために必要となる要素的な言語機能と相互作用を明らかにすることを目的としている。本研究計画は、①聴覚障害児の言語機能の分析(既存検査データの分析)、②言語習得過程の多重指標モデルを検証するための横断的調査、の2側面から構成される。 研究開始3年目となる本年度は、①研究代表者の所属研究機関変更によって生じたデータ解析環境の変化に対応し、解析環境(SPSS Statistics、SPSS Decision Trees)を再整備した。また、一昨年以降の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大に伴い未実施となっていた欠損データの再収集は、研究参加児及び養育者のCOVID-19感染、養育者所属機関の感染対策ガイドラインを鑑みて本年度も保留とした。今後、既存検査データのうち再検査が必要と考えられた児の検査データは、欠損値として処理する。②昨年度の研究期間内に研究参加の同意・代諾が得られた就学前の聴覚障害児の裸耳聴力と矯正聴力、WPPSI-Ⅲ知能検査、PVT-R絵画語い発達検査のデータを収集し、医療機関及び母親の記録に基づく言語発達の過程を整理した。本年度は先天性聴覚障害児3名(双子男児2名、女児1名)を研究参加者に新規登録し、横断的データの収集を順次進めている。 2023年5月8日以後はCOVID-19が感染症法上の5類感染症に移行するため、集団及び個別のデータ収集に対する研究参加者の協力がこれまで以上に期待できる。次年度は、科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)補助事業期間延長を申請し、本課題を継続する計画である。また、国際学会(32st World Congress of the International Association of Logopedics and Phoniatrics)に於いて本研究の成果を報告する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究開始3年目となる本年度は、①既存データの修復および再検査が必要と考えられた児の再検査、②聴覚障害児の横断的調査対象児数の拡大を予定していた。研究①と②に係る共通事項として、研究開始1年目と2年目に発令された緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置、COVID-19小児感染者数の増加等が対人接触上の制約となり、本研究課題の遂行に大きく影響した。研究①は、既存検査データの解析を一部実施しているが、欠損データの再収集には至っていない。研究②は、横断的調査の対象となる聴覚障害児の新規募集を本年度再開したところである。上記理由により、当初の研究計画に比し「遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)補助事業期間延長を申請し、本課題を継続する計画である。 次年度の推進方策は、次の通りである。①聴覚障害児が日本語を習得するための要素的機能を聴力および言語検査の結果から同定し、多重指標モデルおよび因子間相互モデルの作成による言語習得過程のスキル構造を抽出する。②聴覚障害児の横断的調査を継続するとともに、収集したデータを多重指標モデルと比較・検討する。また、2023年8月開催の国際学会(32st World Congress of the International Association of Logopedics and Phoniatrics、Auckland、New Zealand)に於いて研究成果の一部を報告する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は次の2つである。①データ収集の機会を十分確保できなかったため旅費の使用額が予定を下回った。COVID-19が感染症法上の5類感染症に移行され次第、対象児のデータ収集を集中的に実施するための費用として使用する。②本年度の開催が予定されていた国際学会(32st World Congress of the International Association of Logopedics and Phoniatrics)が2023年度開催となり、国際学会の参加費及び旅費、発表ポスター印刷費が次年度に持ち越しとなった。次年度、上記学会における成果報告の費用として使用する。
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